ボーカル講師 対談インタビュー:山本陽介トレーナー

 音楽をはじめたきっかけ

「高校2年生のクリスマスが、私の人生を変えてくれました」

学生時代に音楽を勉強していた母の影響もあってか、私も小学生の頃にピアノを始めました。と言っても教室に通っていたのはほんの少しで、練習も大嫌いでしたし「やっぱり体を動かしていた方がいいや」ということになったのですが(笑)。小さい頃から体を動かす事は好きでしたし、中学、高校に進学するとバスケットボールや駅伝に熱中していました。

そんな高校2年生のとき、私の人生を変える大きな出会いがありました。当時から中学・高校の「英語」はネイティブ・スピーカーのサポートによる授業が一般的でしたが、私が住んでいた岩手県の小さな町にもニューオーリンズから先生がやって来て。もともと音楽を専門にしていた先生は、その年のクリスマスにコンサートを開こうと計画したんです。

先生は母が音楽経験者だという噂を聞きつけたらしく、ある日家に帰ると「外国人がいる!」と(笑)。コーラス隊に男子の参加者が少ないので「ぜひ歌ってほしい、声を聴かせて」ということで歌ってみると、私の声が耳にとまったのか「本格的に歌を勉強してみたら」と勧めてくださったんですよね。自分の可能性を見出していただいたのは嬉しかったのですが、これまでスポーツばかりしてきた私にとって国内の音楽大学に進むのはかなりハードルが高くて(笑)。先生のすすめもあって、個人のポテンシャル・将来性を重視してくれるアメリカの大学に進むことを決めました。渡米にあたっては先生のサポートをいただきながら、オクラホマ州立セントラルオクラホマ大学の音楽学部声楽科に合格することができました。声楽科の中でもとくにボーカルパフォーマンスを学び、クラシックを基本にオペラやミュージカルなどの舞台を経験。また奨学金をいただくという前提で、教会音楽家としても活動していました。

大学を卒業した後、実は私には一度音楽から離れていた時期があるんです。音楽を楽しめなくなっている自分に気づき、また他の人の生き方と比べて葛藤する事に疲れてしまったんですね。住まいをロサンゼルスに移し、さらに英語を勉強しながらショップ店員として2年ほど生活していました。ただ、「音楽のない生活」もそれはそれでキツいものがありましたね(笑)。音楽という学問は、人間が生きていく上で必要なソーシャルスキルを、リズム、メロディー、ハーモニーを通して学ぶ事ができる素晴らしいものです。実は自分が思っていることを口に出すのが得意ではない私は、音楽を通して感情を解放できていた部分があったんですよね。ところがそれが出来ない状態が続いたものですから、イロイロなものを抱え込むカタチになり、煮詰まってしまって…。そんなとき、大学時代の恩師が「うちの大学の大学院のプログラムでもう一度勉強しに帰ってきなさい。」と奨学金まで用意して僕を迎え入れてくれたのです。音楽というものが自分にとってどういうものなのか。その芯が定まった状態での大学院生活を非常に有意義に過ごした後、中学生に歌唱、合唱指導をする仕事を見つけ、帰国するまでその中学校で指導に当たっていました。

ボーカル講師(ボイストレーナー)をはじめたきっかけ

アメリカでの生活も12年になり30歳の節目に日本に帰ることを決めたのですが、帰国前から自分は日本で何ができるだろうかと模索していました。もちろんインターネットでも情報収集をしていましたが、たしか「音楽・講師・歌」とキーワードを入れてトップに出て来たのがモア東京ボーカル教室で。つまり、アメリカにいた頃からモアのことを知っていたということになるんですよね(笑)。そして、そうそうたる講師陣がラインナップされているのを見て「ぜひ一緒に働きたい!」と思い、帰国するといちばんに採用試験を受けたという感じです。

講師(ボイストレーナー)業を行う上で重要視しているところ

私はいつも、生徒さんのコンディションにあわせてボーカルレッスンをしています。声は体が作り出す楽器ですから、その日の体調やメンタルに大きく左右されます。ですからもしも生徒さんがお疲れだと感じれば、指導というより体に溜まったものを発散していただくようなイメージで。私生活で「No」と言えない方には「No」の歌を歌っていただくことで、ポジティブな気持ちを取り戻していただきたいと思います。そしてもう一つ、私が大切にしているのは、必ずその日のレッスンで良くなったところ、元々持っている良いものを毎回伝える事。日本人は自分に厳しい人が多いですが、私は生徒さんのいいところを見つけるのが得意ですから(笑)。ポジティブなアドバイスをさしあげることで、少しでも本当の笑顔のお手伝いをさせて頂ければと思います。

ボーカル講師(ボイストレーナー)を行っていて良かったと感じる瞬間は?

教室でボーカルレッスンを終えた後、生徒さんに「ありがとうございます」と声をかけていただくことですね。実はこれはアーティストとしてパフォーマンスを終えた後も同じで、「良かったよ」とお褒めの言葉をいただくよりも「(良い演奏を)ありがとう」と言われた方が嬉しいんです。日本語の「ありがとう」って本当にステキな言葉ですよね。「ありがとう。」という言葉を通して、「あぁ、何か少しでも力になれたのかな。」と一気にパワーが充電される感じで(笑)。生徒さん一人ひとりに何かしらポジティブなパワーを与えることができるよう、「ありがとう。」と言い合えるようなレッスンが出来たらと思います。

ボーカル教室の生徒さんに伝えたいメッセージ

他の習い事と比べると、ボーカルレッスンはちょっとオシャレで、幼い頃から音楽に親しんできた人、初心者と言ってもある程度歌える人が通うような、敷居の高いイメージがあるかもしれません。それだけに自分が行ってもいいのかな?といった不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。でも、音程とリズムが完璧な歌だけが素晴らしいということはありません。多少音が外れることがあっても、その人の生き方・感じ方があらわれた歌はとても魅力的なもの。「苦手意識を克服したい」、「上手く歌いたい」、どんなきっかけでも気兼ねなく、教室でのレッスンを体験していただきたいと思います。

モア東京ボーカル教室のよいところは

モア東京ボーカル教室に在籍するボイストレーナーは、ミュージシャンとしても多方面で活躍しています。それだけのキャリアと実績のある講師陣が揃い、しかもご自分にあったボイストレーナーを見つけられるわけですから、教室に通うメリットは大きいですよね。

さらにレッスンを受ける教室も時間も自由に選ぶことができますから、ムリなく続けていただけると思います。

近い将来の音楽家としての目標は…

アメリカにいた頃はオペラ、ミュージカルなど、大きな舞台を中心に活動していた経験がありますが、日本に帰国した今はもう大きなステージへの執着はないです。それはアメリカの教会で歌っていた経験や、震災後に訪れた老人ホームでのパフォーマンスがきっかけです。観客のすぐそばで歌っていた私は、認知症がある方でも涙を流して歌を聴いている姿に感動しました。その密接な距離感に何かをつかんだと言いますか、舞台に大きいも小さいもなく、ただ「ありがとう」と言っていただけるようなパフォーマンスを続けていこうと考えるようになったんです。モア東京ボーカル教室で仕事をはじめたことで、尊敬の出来る日本人のミュージシャンと知り合うことができました。そして20代を過ごしたアメリカには、私の師匠をはじめ音楽を介して得た友人たちがいます。将来的にはアメリカの風を日本に、こちらの風をアメリカへと届けられるように、音楽を通した交流をサポートしていきたいですね。他の人と比べたら遠回りな人生ですが、そこでしか見る事の出来なかった景色があります。葛藤しながら一生懸命生きてきて今、自分には常に「いい風」が吹いているように感じています。いい出会い、いい学び、いいチャンス。だからこそ、以前の私なら見送ってしまったことにも、周りの皆さんとシェアし、挑戦し続けていきたいと思っています。