生徒さんの声(沼 先輩)

はじめまして、沼先輩と申します。
今月から月に1回、半年にわたって生徒の成長日記を書くことになりました。皆さん、よろしくお願いします。

ところで、私がモアボーカル教室に入ったのは今から8年前です。むむ、ちょっと待たれい。8年もやってたら、さすがにそんなに成長しませんよね。いや、成長しないってことはないだろうけど、ブログ映えするほどではなくないですか?こんな私ですけどね、かつては目覚ましく成長して周囲を驚かせたことだってありましたよ。なんでもっと早く言ってくれないかなぁー校長。

まあ、それはともかく、こんなにも長くモアに通い続けるのには、それなりの理由があるんです。えっ、知りたいですか?わかります。では、その理由について今日はお話ししましょう。

ほとんどの方がそうでしょうけど、私も入会前に体験レッスンを受けています。そう、新しくなにかを始めるというのは、誰にとっても勇気のいることなのです。

当時の私はと言えば、四十過ぎの独身で、CDのコレクターであり、自分で作詞作曲して多重録音するのが生きがいという、キモいおっさんでした(今もですが)。しかも、自信はないのに変なプライドだけは持っていて、もし自己流でやってきたことが「それ、全然ダメです」って言われたらどうしようかと、ビクビクしていたのです。

そして体験レッスン当日。
おそるおそる浦安教室の扉を開けると、女の子がピアノに合わせて、楽しげに歌う声が聞こえてきました。それを聞いていると、いかにも自分がこの場に不釣合いな気がして、いたたまれない気持ちになってきます。

不意にピアノの音と笑い声がやみ、レッスンルームから、先生らしき女性が出てきました。

「体験のひと?」

「そ、そうです」

それが横田トレーナーとの出会いでした。
そのとき横田トレーナーは、すでにベテランのボイストレーナーであり、懐の深い、優れたミュージシャンでした。後になって私は、横田トレーナー自身が生粋のエンターテイナーであることを知ることになるのです。

その証拠に、横田トレーナーの体験レッスンでは、私が恐れていたようなことはなにもなく、それどころか、すっかり気持ちを乗せられて、レッスンが終わる頃には、あっさりと入会を決心していたのです。ピアノの音、そして笑い声とともに。

ちょ、ちょっと待てよ?決めるのはいいが、本当にこれでよいのか?この、「サウンド・オブ・ミュージック」みたいな世界に私の居場所はあるのだろうか?積年の音楽ヲタとしてのアイデンティティーは保てるのだろうか?ロックンロールの魂はまだ生きているのかーっ!
元来自信のない私は、自分の決断に確信が持てず、土壇場になってもネガティブな妄想に駆られまくっていたのです。

「ウチに入会するかどうかは、正直どっちでもいいんだけど」

私の心の内を見透かしたように、横田トレーナーが言いました。そして、私の目を真っ直ぐに覗き込み、こう付け加えました。

「あなたは歌をやるべきよ。」

そのときの言葉を、私は今もときどき思い出します。横田トレーナーにはその後、様々な形で指導を受けることになりましたが、あの日、どうしてそんなこと言ったのか、はっきりとはわかりません。

それでも「あなたは歌をやるべきだ」というある種の予言を、できれば的外れなものにしたくないと私は思っていて、そのことが、私を突き動かす小さな燃料になっているのは確かなのです。

もっともその答えは、誰かに結論づけてもらうようなことではなくて、私自身が最後にどう思うかが全てなのですから、心ゆくまでやる、今もその途中にいる、本当はただそれだけのことなんです。


先日行われた横田トレーナーのライブ。和ませるかと思いきや聴かせる。この浸透力が半端ない。