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【ミュージカル曲コラム】『Electricity』ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~/Billy Elliot the Musical 歌い方・歌 上達法

【曲名】Electricity
【演目】ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~/Billy Elliot the Musical


【演目について】
舞台は1980年代のストライキに揺れるイギリス北部の炭鉱町。幼い頃に母を亡くした11歳のビリーは父と兄、祖母と暮らしていた。父は「ビリーにたくましく育って欲しい」と乏しい家計にも関わらず、ボクシング教室に通わせるが、偶然バレエ教室を目にしたビリーは、少女たちに混じってレッスンに参加するようになる。バレエ教室のウィルキンソン先生はビリーの才能をいちはやく見抜き、イギリスの名門「ロイヤル・バレエスクール」の受験を薦めるが、父に強く反対されてしまう。

 

踊っているときだけはツライことも忘れて夢中になれるビリーはバレエを諦めることができず、そんな姿を見た父は、ビリーの情熱と才能、そして「バレエダンサーになる」という強い思いを知り、「何とか夢を叶えてやりたい、自分とは違う世界を見せてやりたい」と心を動かされる。度重なる苦難を乗り越えるビリーの姿は、家族全員の夢となり、やがて寂れた炭鉱町全体の夢となっていく。

 

この作品は、世界的にヒットした映画『リトル・ダンサー』(原題:Billy Elliot/2000年イギリス公開)をミュージカル化したイギリス発の舞台である。作曲はエルトン・ジョン、脚本・作詞をリー・ホールが担当し、2005 年にロンドンのウエストエンドで初演され、2016年までロングランを続けた。英オリヴィエ賞や米トニー賞をはじめ、世界の名だたる演劇賞を総なめにし、日本では菊田一夫演劇賞(大賞)や読売演劇大賞(選考委員特別賞)などを受賞した。


【曲について】
炭鉱町の皆んなからの援助のおかげで、英国ロンドンにある名門「ロイヤル・バレエスクール」のオーディションに来ることができたビリーと父。ビリーは実技のオーディションでうまく結果が出せず、その反動で他の受験生に暴力を振るう始末。自分に失望しきったビリーは最後の面接でも面接官の質問に満足に対応できずにいた。面接が終了して帰ろうとすると、「踊っているときはどんな気持ちになるのか」と面接官に質問される。

 

この楽曲は、そのアンサーとして歌われ、ビリーのバレエへの情熱と、バレエがもたらす解放感や多幸感を表現している。また、この歌を通して、ビリーは「周りの困難や期待から解放されたい」という自身の思いを受け入れ、踊ることが自分の夢であるという決意をし、アイデンティティを確立している。


【歌唱ポイント、アプローチ】
「Electricity」は、本当に心を動かされる何かを発見したときに感じる情熱と興奮を歌った曲です。面接官の質問に対して、「うまく言葉にできないけど、伝えたい感情は確かにある」といったもどかしさを表現できるとよいでしょう。そのためにも、歌う前に楽譜の歌詞をよく読んで、湧き上がる思いをどのように比喩表現をしているのか理解してから練習に取り組みましょう。

 

また、ビリーの興奮を表現するには、呼吸のタイミングと歌詞のフレーズへの意識も重要です。1番は、一言毎にブレスをしながら、一音ずつしっかりと発音することを意識すると、面接官に対して、バレエへの情熱を伝えたいながらも、言葉を丁寧に選んでいる様子が表現できます。2番まで歌い終えると、感情を踊りで表現したい気持ちが抑えられなくなり、バレエやアクロバットを用いて踊り出します。そのため、2番を歌う際は、1番とは違い、胸を張って自分の感情を解放するような歌い方ができると良いでしょう。


 

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