ミュージカルワークショップ ― 舞台に立った仲間のリアルな声
2025年の舞台には約20名のメンバーが出演。出演を終えた感想は、人それぞれに濃く残っています。今回、企画運営をしていた3名の出演生徒さんへ取材をさせていただきました。
吉田さんは運営も兼ねていたので、また違う緊張感がありました。
「当日は朝から仕込みで、舞台監督さん・音響さん・照明さんと バタバタ。開演に間に合うのか、最後まで無事に終わるのか…もうそればっかりでした。だから幕が下りた時に一番ホッとしました。落ち着いてからやっと“楽しかった”って思えました。」
宮口さんは、ほとんど本番の記憶がないそうです。
「朝から走り回っていて、記憶がないんですよ。常に汗だくで、足もつりまくっていて…(笑)。でも終わった時に自分がどうこうよりも、みんなが“楽しかった”って言ってくれたのが嬉しかったです。」
黒崎さんはこう言います。
「自分的には間違えました(笑)。でもどうにか大きくは崩れなくて、悪目立ちせずに済みました。朝から夜までだったので最後の方は集中力が切れそうで、正直達成感があるような、ないような感じでしたけど…でもやり切れたこと自体は大きかったです。」
稽古場の寛容さと熱量
稽古は厳しさよりも「ゆるさ(寛容さ)」があるのが特徴です。
黒崎さん:「私は休みがちなんです。でもその分、また一から教えてもらえるし、できない人はできないなりに頑張ればいい。だから気楽に参加できるんです。」
吉田さん:「新しく入った人が、1年で自信を持って演じる姿になるのを見るのはすごく刺激になります。最初は“私にできるかな”って不安そうでも、必ず変わっていく。」振付や動きを忘れてしまっても動画で確認できる仕組みがあり、各自のペースで成長できる環境です。吉田さん自身も「セリフはギリギリにならないと覚えられないタイプ」と笑いながら、「でもそれでいいんじゃないかな。怒られることもないので安心して入ってほしい」と話していました。
宮口さんは「とても良い意味で凸凹の集まりだけど、みんなで合わせるといい舞台になる。不思議な魅力だと思う」と言います。
裏で走り回る運営
表舞台の裏では、運営チームの奔走がありました。
宮口さん:「照明さんも初めて依頼した方。段取りもうまくいかず、正直不安だらけ。でも本番では素晴らしい照明を出してくれて感動しました。」
吉田さん:「運営の負担は確かに大きいけれど、その分舞台ができあがった時の喜びは大きいです。演者だけじゃなくて、“作る側の仲間”として関われるのが面白いところです。」
黒崎さんも観客の立場に立ちながら「スタッフは本当に大変だったと思います」と仲間を気遣っていました。
苦手を持ち込める安心感
このワークショップでは、苦手や不安を抱えたままでも大丈夫です。
宮口さん:「ダンスが苦手なら踊らなくてよいですし、セリフが不安なら歌に重きを置く形にすればいい。相談すれば、もっとも輝ける演出方法はいくらでもあります。」
黒崎さん:「普通のミュージカルだとアンサンブルでしか出られない。でもここでは誰でも一曲はソロを歌える。照明を浴びて歌うのはとても気持ちがいいんです。」
吉田さん:「新しい人は“ダンスが苦手で…”と帰り際に言うことが多い。でも気にしなくて大丈夫。最初はできなくても、やる中で変わっていく人が多いんです。」
稽古後のつながり
練習の後も交流が続きます。
吉田さん:「練習が終わったあと、ご飯を食べながら最近観たミュージカルの話など、熱いトークで盛り上がったり。稽古以外の時間もすごく楽しいです。」
宮口さん:「プライベートでも遊びに行くくらい仲が良いんです。このワークショップであり、本番の舞台がきっかけで広がる人間関係も魅力ですね。」
次回作への期待
次の作品は、昭和から平成のヒットソングを使ったジュークボックス型。
宮口さん:「当時流行ったダンスやファッションも取り入れて、世代を超えて楽しめるようにしたいですね。ちょっとエモさも出して。」
吉田さん:「お芝居をしながら歌うと、カラオケやライブで歌うのとは全然違うんです。表現の幅が広がるので、挑戦してほしいですね。」
黒崎さんは「非日常の刺激は年を重ねると減っていくけど、この舞台ほど刺激のあるものはない」と笑顔で語ってくれました。
まとめ ― 舞台は“もう一枚の日常”
最後に3人から、これから参加する人へのメッセージを紹介します。
黒崎さん:「気楽に入って大丈夫です。できないところは助けてもらえるし、できる範囲で頑張れば舞台に立てます。」
吉田さん:「不安でも、やるうちに必ず自信に変わります。安心して飛び込んでほしい。」
宮口さん:「入り口で“無理かも”と諦めるのはもったいない。入ってから決めればいいんです。そこで成長するのが魅力です。」
舞台は特別な出来事でありながら、日常の延長にもなります。次の一年、あなたの生活に“舞台”という新しいレイヤーを加えてみませんか。