バルーン「シャルル」歌い方・コード進行解説|丸サ進行のボカロ名曲を徹底分析
| 楽曲名 | シャルル |
|---|---|
| アーティスト | バルーン(須田景凪) |
| リリース | 2016年9月(ニコニコ動画投稿) |
| ボーカル | v flower(ボーカロイド)/セルフカバーver.も配信 |
| Key | Gm(メジャーキー:B♭) |
| コード進行 | 丸サ進行(Ⅳ-Ⅲm7-Ⅵm7-Ⅰ) |
| ジャンル | ボカロ・ダンスロック・ギターロック |
| 特徴 | アウフタクト・16分パッセージ・セカンダリードミナント・オクターブ跳躍 |
| 難易度 | A(早口パッセージとオクターブ跳躍が難所) |
シャルル 楽曲解説
ボカロPである「バルーン」がリリースした楽曲。
楽曲中のボーカルパートは、ボーカロイドの「v flower」を使用して制作。
数々の歌い手やアーティストに歌われており、本人歌唱のセルフカバーverもリリースされています。歌詞に注目してみると、どこか「寂しさ」を吐き捨てるような言葉遣いや、恋愛における「矛盾」を問うような、語り口調の歌詞となっています。最近ではオーディオドラマ化もされたとのことで、歌詞の世界観にも注目して聴いてみるとよいでしょう。
リズム
ボカロを使用した楽曲はシンセなど打ち込みの音色を多用したサウンドを想像しがちですが、今回の楽曲はバンドサウンド、かつギターロックのサウンド。ドラムに関しても同様に「生ドラムの音色」を(実際は打ち込みだと思われる)使用しています。
リズムは邦楽ロックでよく使われるダンスロックのビートが主体。ドラムのパターンもキックは4つ打ちがメインですが、16分音符ウラのアクセントをスネアで表現することで16分音符のスピード感を表現しています。歌のリズムに着目すると、Aメロなどの楽曲前半では早口のように細かいパッセージの歌メロが多いです。ここはしっかりとボカロっぽく、タイトなリズムのニュアンスをしっかり出すことがポイント。ハシり気味になりがちな人は、「4分音符で鳴っているキック」を意識して歌うと良いでしょう。
メロディ
まずは全体のコード進行について考察。
今回の楽曲のキーはGm(Major Key : Bb)。
4つのコード単位で繰り返す、循環進行がメインの楽曲構成。
Aセクション(最初の歌始まりの部分)では、[ Eb – Dm7 – Gm- Bb ] といった定番のマルサ進行(マルサ進行については「酔いどれ知らず」の楽曲解説にて詳しく解説しております。)で、Ⅳ-Ⅲm7-Ⅵm7-Ⅰといったコード進行となっています。「オシャレ感」を演出する上で欠かせないコード進行で、「愛を伝えたいんだとか/あいみょん」「夜に駆ける/YOASOBI」などでも使用されている人気のコード進行。日本だとマルサ進行(丸ノ内サディスティック)と言われますが、世界的にこのコード進行を有名にしたのは「Just The Two Of Us (邦題:クリスタルの恋人たち) / Grover Washington Jr. Feat.Bill Withers」という楽曲だと言われています。

歌い出しの「さよならは♪」からのAセクション
歌い出しのフレーズはアウフタクト。
「アウフタクト」とは、別名「弱起」と呼ばれ、小節の頭より前の拍裏からはじまるフレーズのこと。歌い出す前から楽曲のテンポ感を把握すること、また、コードでメロディの音を事前に把握することがポイントとなります。「それなのに♪」の「れ」の箇所では、Bbである「そ」の音から、5度高いFの音まで跳躍するメロディが出てきます。テンポも早めの音程移動となるので、音をしっかり当てられるよう、メロディの前後を意識しましょう。音飛び後はBbメジャーペンタトニックスケールの下降フレーズ。全体的にペンタトニック(5音で構成された音)間の音を使用しているところも、今回の楽曲のポイントとしておさえておきましょう。

「そうやってきのうのことも♪」の箇所では、16分音符の素早いパッセージが続きます。滑舌とリズムに注意して歌いましょう。

「からっぽでいよう♪」から始まる、Bメロのセクション
コードを分析してみると、まずは譜例の2個目のコードに注目。
この箇所は理論上、ダイアトニックコードを使用するのであればDmとなるのですが、ここではD7が使用されています。こちらはセカンダリードミナントと呼ばれる手法となっており、メロディはこのコードの7thの「C」の音を歌っている点もポイントの一つです。
後半に出てくる、譜例の「た」「し」の箇所。
こちらのメロディはD7の構成音で言う3rdの「F#」の音となっています。キー(Gm)のスケールから分析すると、「7#」の音にあたります。こういった楽曲のメジャースケール外の音が出てくる箇所は特に、重点的に練習しましょう。またリズムの点でも注意が必要な箇所です。休符をしっかり意識して、スタッカート気味に歌いましょう。楽曲全体でのキメにバシッと合わせられるよう意識することも重要。

「あいをうたって♪」から始まる、サビのセクション
ボーカル以外のパートは全て休符になり、歌だけとなる箇所が出てきます。
こちらも最初に触れた「アウフタクト」となっています。ドラムや他のパートが消えてもリズムを常に身体で感じて、リズムキープすることが大切。自信を持って歌えるよう、常にリズムを感じて歌うことを意識しましょう。また、こちらの箇所ではBbである「たっ」から、その1オクターブ上のBb「て」に跳躍するフレーズ。1小節の中で2度もオクターブ間の移動がある、楽曲の中で1番難しいポイントになるのではないでしょうか。声の切り替えを素早くできるよう、重点的に繰り返し練習しましょう。全体を通して、ボカロのメロディならではの難しさが目立つ楽曲。特に、サビの箇所はテンポを落として、正確な音取りをして、繰り返し練習することをおすすめします。
声について
ボカロ曲をカッコよく歌う上で、重要なのがキー設定。
サビの「歌って」の「て」の音を強いパワフルな声で歌いたいか、ソフトに抜くように歌いたいかで変わってきます。自分自身のボーカルスタイルに合わせて、ベストなキーを探しましょう。ボカロ的に歌いたい場合、声帯は曲を通して薄く、逆にエモーショナルに歌いたい場合は十分にスピードとピッチを捉えられる範囲で声帯の厚さ(強弱)や音色を工夫してみましょう。ボカロ曲だからこそお手本はなく、あなたの個性を自由に発揮できるでしょう!
豆知識
バルーンこと須田 景凪さんは、元々ドラムも実際に演奏していたとのことで、制作する楽曲のドラムパターンは、全て自分が打ち込んでいるとのこと。さらに人間っぽさを表現するためにミリ単位(DTMだと1tickや1msで表現します)で、調整するような作業も欠かさず、行っているそうです。まさにDTM一つで制作するボカロならではのやり方・発想ですね。たとえ打ち込み全盛期の現代であっても、音楽を奏でる上での「人間っぽさ」というものを、聴き手も作り手も求めているのかもしれませんね。
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