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【ボイトレ 歌い方】『Bling-Bang-Bang-Born』(Creepy Nuts)を上手に歌うコツ!(ポイント解説)

【Bling-Bang-Bang-Born 楽曲解説】

ラッパーであるR-指定と、DJ・トラックメイカーでもあるDJ松永からなる「Creepy Nuts」がリリースした楽曲。テレビアニメ「マッシュル-MASHLE-神覚者候補選抜試験編」のオープニングテーマとして起用。

 

台湾、チェコ、インドネシア、アメリカ、イギリス、フランスなど10ヵ国以上のiTunes Hiphopチャートで1位の獲得、Billboard JAPANにおけるストリーミング1億回再生を突破するなど、日本人アーティストの中で異例のセールスを記録しています。

 

YOASOBIの「アイドル」も全世界でのヒットを記録した作品ですが、それを上回る勢いで再生数を伸ばしています。TikTokでは「BBBBダンス」と呼ばれるサビに合わせたダンスが世界的に流行していることも、再生数の伸ばしている所以でしょう。


【サウンドとリズム】

今回の楽曲のジャンルはヒップホップ。

ここ数年の全世界のヒットチャートの上位はほぼ、ヒップホップが占めています。J-POPの世界でもヒップホップのサウンドを取り入れた楽曲も増えてきました。その第一の理由として、DTM(PCを使用した楽曲制作)での楽曲制作が主流となってきたことが考えられます。

 

今回の楽曲のトラックも全て、「打ち込み」と呼ばれるPC上だけで制作できるもの。ヒップホップ系の楽曲にみられる特徴として、ループ(循環・繰り返し)系のフレーズを使うといった点が見受けられます。今回の楽曲もシンプルにキックのみでリズムを表現している箇所が多いです。DJのスクラッチ風の音色で16分のグルーヴを表現。サンプリングと呼ばれる、「何らかの音を収録して、それをそのまま素材として使う」手法もよく使われます。

 

J-POPと比べると全体の楽器数(主に伴奏系)と音数の少なさが見受けられます。音数が少ないからこそ、ラップを際出せる要因にもなっています。


【セクション毎のメロディ解説】

 

まずは全体のコード進行について考察。
今回の楽曲のキーはAm。
ヒップホップ系、ループ系の楽曲の中には、ワンコードまたはツーコードで作られている楽曲も多く存在します。今回の楽曲もコードとしてはAmとE7で構成された楽曲となります。

 

コードを分析すると、E7はAmからみたセカンダリー・ドミナントとなっており、コードの流れに緊張感を与える役割を果たしています。J-POP特有の「コードの動きで曲調の雰囲気を作る」場合と異なり、サウンドの抜き差しや、メロディ・フレーズのバリエーションで楽曲が展開されていますね。

 

ラップセクションにおいては、滑舌とリズムの言い回しが大事になってきます。今回は特に「リズム」に着目して楽曲を考察していきましょう。

 

「チート、gifted、荒技、wanted」の箇所。

言葉のアクセントに着目してみましょう。1拍目、2拍目…と交互に強弱が置かれています。フレーズの強弱に気をつけて聞いてみてください。「チート」が強め、「gifted」が弱めのようにメリハリがついている事がわかります。「ay ライバル口を揃えて」の箇所では、頭拍にある「ay」「wow」の箇所にアクセントが来るようになっています。それぞれのフレーズでどこにアクセントがあるか捉えながら聞いて見ることをおすすめします。


 

「It’s なまみ It’s なまみ」の箇所。
こちらは1回目と2回目のフレーズで音程が少し違う点に注意。早いパッセージのセクションですが、最初の音をしっかり当てられるよう気をつけましょう。

 

その後すぐに「Bling Bang」のフレーズが来るので、「yeah 」の箇所で息を使い切ってしまわないよう注意。「Bling Bang Bang」の箇所も、譜面の休符の箇所をしっかりと取りましょう。


 

「相変わらず脱皮してる毎日」の箇所。
こちらのフレーズは声色を変え、低めの太い声をイメージして歌ってみましょう。声色は低めでも音程は低くならないよう、譜例を参考に音を確認。

 

「誰の七光もいらない」の箇所は入りのタイミングが裏拍から入る点と、シンコペーションフレーズとなっている点に注意。リズムを見失わないよう、しっかりリズムキープしましょう。


 

「鏡よ、鏡答えっちゃって」の箇所。
こちらは半音の上下移動を繰り返すフレーズから始まります。小節毎に声色を切り替えているので、その点にも注意して歌いましょう。前半は柔らかい声、後半は太い声のようなイメージを持って歌うことが大切です。


 

「Now singin Bling Bang Bang」の箇所。
楽曲中で一番盛り上がる場所ですが、音程は少しずつ下降していくフレーズとなっています。譜面を参考にリズムの符割りと音程に気をつけて、盛り上げていきましょう。

 

「Ey Day」からの箇所。
こちらはスタッカート気味に歌う事がポイント。細かくリズミカルに歌えるよう、練習しましょう。

 

「学歴もない前科もない」の箇所。
こちらは3連符の符割りとなっている点に注意。

歌う前に楽曲を流しながら、手で叩いて音符を確認することをおすすめします。ゆったりとしたリズムが流れている上に、滑り込むように3連の言葉を当てはめるイメージで歌ってみましょう。


【声について】

ラップは通常の歌唱時の歌声に近づけるとラップらしさが出ないことがあります。普段の話し声の延長で、滑舌とリズムに注意。

 

軽く聞こえる部分は声量を落として喉頭や表情筋はリラックス。合いの手やサビなどは少し喉頭を下げてみましょう。細かいことは気にしないで、とにかくノリ重視で楽しく歌ってみましょう!


【豆知識】
今回の楽曲のタイトルでも「Bling Bang Bang Born」。
こちらは造語ということなのですが、Blingにはヒップホップのスラング。キラキラして華やかな派手さを表現する際に使われるそうです。

 

リズミカルで、耳に残るオノマトペのようなフレーズですね!何かがすごいものが生まれる、そんな雰囲気が感じられる今回の楽曲でした。


 

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