【ボイトレ 歌い方】『ultra soul』(B’z)を上手に歌うコツ!(ポイント解説)
【曲名】ultra soul/ウルトラ・ソウル
【アーティスト名】B’z
今回は日本を代表するロックバンド「B’z」の代表曲「ultra soul」を解説。
2024年の紅白歌合戦に初出場し話題を集めたのはまだ記憶に新しいところ。この楽曲は2001年に31作目のシングルとしてリリース。2000年以降にリリースしたシングルでは初動・累計共に最高の売り上げを記録。
【歌詞の考察】
「世界水泳福岡2001」の大会公式テーマソングとして書き下ろされた1曲であり、歌詞の内容は水泳選手の本番に向けてのメンタルなどを思い描いたとVo.稲葉は語っている。
言葉1つ1つはとてもシンプルで分かり易い内容となっているが、優しく応援するのではなく焚き付けるような言葉使いになっている点に注目。
楽曲のサウンドも相まって、強く背中を押すような言葉に感じるだろう。
【メロディとコード・リズムの兼ね合いを検証】
BPMは128。keyはAメロ、サビがC#m、Bメロでは平行調のEとなっている。
Aメロのコード進行は
|C#m G#7|C#m B|A B7|E |
|C#m G#7|C#m B|A B7|C#m |
セカンダリードミナントであるG#7を使用しC#mへの解決感を強くしている。
また、1回し目ではE、2回し目では同じ調号を持つ平行調のC#mに解決する事により明るさと暗さで展開に変化を付けている点にも注目したい。
メロディとしては4小節単位のモチーフとなっていて、2回し目ではメロディを変化させ次のセクションに向かう為にしっかりと解決をさせている。
非常にシンプルなメロディとなっているが奇数小節ではメロディのみ次の小節のコードトーンを食って取っているのでしっかりと意識をして当てにいきたい。
Bメロのコード進行は
|F#m7 G#m|F#m E|F#m7 G#m|A G# A G#|
KeyのⅡm7であるF#m7、ⅢmであるG#m。
Ⅱmからコードを上昇していく事によりサウンドに期待感をもたらす定番のテクニックを使用してコード進行を作成している。
だが、上がると見せかけ一度Eまで下げて落ち着かせ、再度F#m7から上昇させ最終的にセカンダリードミナントのG#でサビに向かわせるというシンプルながらも非常に良く出来たコード進行となっている点に注目したい。
ここでのAのコードはダイアトニックコードのⅣという認識も出来るが、G#に対するクロマチック(半音階)アプローチと考えた方が良い。
半音上のAが入る事により、G#の持つサウンドがより強調されている。
メロディラインも上昇させ落ちつかせ、再度上昇しサビに向かわせるというコード進行に沿った作りとなっている。コードのサウンドを意識することで音が取り易くなるので一度楽器の音に注意して聴く事をオススメする。
サビのコード進行は
|C#m G#7|C#m B7 E |B7 E |D#7 G#7|
|C#m G#7|C#m B7 E |B7 E |F#m G#m|
|C#m |F#m G#m|C#m |
ここではG#7以外にもD#7のノンダイアトニックコードが使用されている。
考え方はG#7と同じセカンダリードミナントとなるのでD#7-G#7-C#mとドミナントモーション(ドミナント7thコードから4度上のコードに解決する動き)が連続で行われている。
最後ではBメロでも使われていた上昇進行を使い次に向かうのでは無くしっかりと解決をして楽曲を締めている。メロディとしてはG#7の際にスケール外であるB#(C)の音が出てきている。マイナースケールのb7thの音を♯させたハーモニックマイナースケールから使用されている音なのだが、現代のPopsにおいて非常に使用頻度の高い音となっている。
また、G#7の構成音である3度の音なのでコードとメロディの響きをしっかりと聴きサウンドを覚えて欲しい。
最後の「ウルトラソウル」の部分での最高音はHiC#と非常に高く注意をしたい箇所。
サビ中ではHiBの音も地声のような力強さのある声を出さなければならないので、喉が締まってしまったりピッチがフラットしないように気をつけたい。サビではAメロ、Bメロの8分音符が中心のリズムと変わり、所々に16分音符が使われている。Bpm128での16分音符となるので焦ってしまい、ハシリ易いので注意を。16分音符が使用される際は裏拍となるので表拍の8分音符をしっかりと感じる事が重要になってくる。練習の際は必ず手や足などでカウントを取りリズムを意識して欲しい。
間奏明けのBメロでは4小節目までのモチーフが変更されている。
モチーフが変わっているのでDメロと考えるかもしれないが、2小節目のリズム、メロディの流れ、最後のサビに向かうA-G#のモチーフが同じである事からBメロと考えるのが一般的だろう。変わったモチーフではサビと同様に16分音符が使用されているのでリズムに注意をしたい。また、頭が4分音符で始まり少し軽快に歌唱をしているので音源を良く聴き感覚を掴んで欲しい。
全体を通してみるとシンプルで王道なテクニックが使用されているが、王道ながらのカッコ良さがそこにある楽曲。
音楽理論やリズムを意識する事で様々な楽曲に活かせる事が多く詰まっているので是非意識をして沢山練習を重ねて欲しい。
声について
A→B→サビと段々と音域が上がってきますが、同時にパワフルさも増してくるため、息で押したりチェストのまま声帯を厚くしたまま上がっていくと、声帯への負担が大きくなります。鼻腔共鳴を使いながら声帯への負担を軽減しましょう。