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【ボイストレーニング コラム】高い声を出したい!その3(高音の出し方)

【ボイストレーニング コラム】高い声を出したい!その3(高音の出し方)

このページは、ボイストレーニングに関して、とても専門的なものになっています。
実際にボーカルレッスン・ボイストレーニングを受けられる方のための内容だとお考えください。


【声のサポート】
【喉を使わずに声を出す】、【体(お腹)の中から声を出す】…、こんなフレーズを耳にした事はありませんか? これらの表現、意図するところは何となく伝わって来るものの、よく考えてみるとちょっとおかしな言い回しですよね。なぜなら、体から声が出ることはありませんし、ましてお腹から声が出てきたら? と考えるとオカルトチックで怖いです。…と、ちょっぴり脱線してしまいましたが、ここでみなさんにお伝えしたいのは、「喉を使う事によって声が出る」という事実です。

とは言っても、【喉を使わずに声を出す】、【体(お腹)の中から声を出す】といったフレーズは、ボーカルレッスン(ボイストレーニング・ボイトレ)の現場でよく使われる表現。実際に練習をしていると、このような状態になる瞬間がある事をご理解いただけると思います。それでは、この2つのフレーズについて、詳しくご説明して行きましょう。


【喉を使わずに声を出す】
喉を使わなければ声が出ないわけですから、この表現が間違っている事はご理解いただけたはず。正しい言い方に修正してみると、【適切な量の息を使って、声を鳴らす】という表現になります。

声帯が、声門を【閉め】て、息を声に変換する。これが、声のメカニズム。この時に大量の息を使うと、閉じた状態の声門を開こうとする力が働き、反対に声帯は、声帯自体を【締め】ようとします。これでは声に力が入ってしまい、【喉声】と呼ばれるような聞き苦しい声になってしまいます。ですから、適切な量の息を使うことを心がけ、声帯が【息を声に変換する】作業に集中できるようにしましょう。


【体(お腹)から声を出す】
同じようにこのフレーズを正すと、【インナーマッスル(深層筋)を使って、声門閉鎖をサポートする】という表現になります。

私たちの体はとても良くできていて、体のさまざまなパーツが連動して動くようになっています。たとえば、何か重い物を持ち上げる時の「息遣い」を確かめてみてください。重い物を持ち上げる動作をイメージしてみると…、どうですか? きっと皆さんは、重い物を持とうと、【息】を【止】めたはず。そう! 体に力が入ると、声帯は息を止めようとするのです。ですから、力まかせに声を出すということは、息を止めている状態の声帯を無理やり開いて振動させるということ。強い息と強い力がループした状態になり、やがて声は枯渇してしまうでしょう。

では、そうした状態に陥らないためには、どうしたら良いと思いますか?


思い出していただきたいのが、冒頭の【インナーマッスル(深層筋)】という筋肉群。主に【腹式呼吸】をする時に使われる【横隔膜】、【腹筋】、【背筋】などは、【お腹の風船】を作っています。そしてこれらが【吸気】時に働く事で、【インナーマッスル(深層筋)】も働くのです。この【インナーマッスル(深層筋)】の働きによって、声帯は【息を声に変換する】ように【声門閉鎖】します。ですから結果的に、体(インナーマッスル)が【声門閉鎖】を支えるということになるのです。

【体(お腹)から声を出す】という表現がなされる理由が、お分かりいただけたでしょうか?


このように、体を使うことによる【声のサポート】を取り入れれば、高い声をもっと楽に、強く、太くすることが可能になります。高い声を出す場面に出合ったときは、ぜひ上記のことを意識してみてください!

 

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