ボイストレーニングコラム

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【ボイトレ 歌い方】『ドライフラワー』(優里)を上手に歌うコツ!(ポイント解説)

『ドライフラワー』(優里)

シンガーソングライター、優里(ゆうり)さんメジャー2作目シングル。


ドライフラワー 楽曲解説

優里さんの大ヒットナンバー「かくれんぼ」のアフターストーリーとして書かれた楽曲。
「かくれんぼ」が男性目線の歌詞だったのに対し「ドライフラワー」は女性目線の楽曲になっていますので2つの楽曲を聴きながら歌詞を考えるとより世界観に入る事ができます。


【リズム】
楽曲を歌唱していくにあたってシャッフルのリズムを理解する事が重要。

 

シャッフルというと3連符の最初と真ん中の音をタイでつないだリズムというのが基本になってきますが、きっちりとし過ぎてしまっても逆に固く聴こえてしまうため、しっかりと身体を揺らしながら柔らかくリズムを感じて下さい。
また、この楽曲は16分音符がシャッフルになるハーフタイムシャッフルというリズムになります。一方、優里さん本人はシャッフルになっている部分とノーマルな16分音符気味で歌われている部分があり、注目しながら楽曲を聴いてみましょう。

 


【コードとメロディの兼ね合いを検証】

 

まずイントロからAメロにかけてのコード進行。
Cadd9-G-Dsus4/F#-Em7を循環していく進行となっています。
この際、ギターではトップノートにどのコードにも共通の音(コモントーン)であるGの音が固定されています。メロディラインに直接的な関係性は薄いですが意識することで周りの音が聴こえるようになり、ピッチの安定感につながり易くなることでしょう。

Aメロ頭の入りではコードがCadd9なのに対し構成音に無いBの音(CからみたM7thの音)からの歌い出しになるので注意が必要です。前のEm7のコードの中にはBの音が入っているため、そこから音を当てるイメージを持ってみて下さい。上手くピッチがつかめてきたら、今度はリズムにも注目。16分音符中心に細かく符割りがされています。シャッフルを意識してリズムで円を描くように乗ってみましょう。
『タータタータ』のリズムに上手く言葉がハマると気持ちよくグルーブできます。

 


5小節目からのメロディはCadd9の構成音にあたるDの音からの歌い出しになります。
9thという難しい構成音からの始まりになるため、しっかりとコードの響きを確認して下さい。

 

Aメロは自然な声で無理なく出し、シャッフルのリズムを意識して子音を立てながら歌ってみましょう。Bメロからは、少しノビのあるリズムに変わります。ここで注目したいのは歌詞の「どこかで」にあたる部分のリズム。

 

先述したノーマルな16分音符気味で歌われている部分がまさにここ。シャッフルの『タータ』の伸ばす長さが絶妙に短くなっているため、しっかりと音源を聴いて確認しましょう。メロディの注意点としてはBメロ最後の小節「なくのはいや」の「や」の音。コードはB7となるこの箇所、ピッチはDの音を取っています。先程あったAメロ頭Cadd9でM7thのBの音をあてるのとは、解釈がだいぶ異なります。

 

B7からみるとDの音はm3rdとなり、構成音であるD#とぶつかってしまうため、RockやJazzなどでは#9thというテンションノートとして考えられ使用される事の多い音。ここではコードはB7を鳴らしメロディは#9thのテンションをとり、アンサンブルとしてB7(#9)のコードを作り上げていると解釈するのがよいでしょう。

 

 


Bメロの出だしは音が上がり長い音符になりますので、少し強めのチェストボイスで歌うようにしてみましょう。「変わってく〜れるかな」の「く〜」からはヘッドボイス、もしくはファルセットに切り替わります。切り替えの際に音量が出ると思いますが、まずは声種を俊敏に変化させることに注意を向けてください。

 

サビに入ってからはAメロに似たコード進行にB7を足して展開をドラマティックに変化させています。
注目すべき箇所は8小節目にあたるCmadd9です。ここではメロディにGメジャースケールから外れたEbの音が使われています。Cmadd9の構成音となりますのでコードの響きを聴きながら上手く音を当てていきましょう。
また、Aメロでは『タータタータ』のリズムを中心に歌われていましたがここでは『タタータター』とリズムの感じ方が逆になっている部分があります。アクセントをどこに置くかで表現が変わってくる部分になりますので意識して下さい。

 


サビでもメロディーのアクセントの箇所に強く発音できる子音がある言葉が使われています。
「声も顔も」「全部全部」などは、かなり「K」や「Z」の子音を強く発音して抑揚を出しています。「嫌いじゃないの」の部分ではBメロと同じく声種の切り替えがあります。鼻腔共鳴を使うと無理なく高音に上がれますので、嫌味の無い程度に使用してみましょう。

 

2番サビが終わってからのInterでは透明感あふれるピアノでのリフが繰り返されています。
ここでのコード進行はDsus4/C-Dsus4-Em7(11)-Gadd9/Bと9th、11thのテンションを使って少し霞(かす)んだ雰囲気を作りだし、オンコードによって滑らかにコードをつないでいます。

 

Interの雰囲気をそのままに落ちたCメロに入るのですが、最後のB7によって急激に雰囲気を壊して加速をつけラストのサビに向かっていきます。

ラストのサビは、Cメロ最後の勢いのまま行くと思いきや落ちサビからのスタートとなります。
ここを落とす事により歌詞の「大嫌い」という部分がより強調されるアレンジとなっている点に注目です。上がり下りが激しく表現が難しい箇所となり、歌だけでなくアンサンブルのニュアンスをしっかりと聴きながら歌いましょう。


 

 

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