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【ボイトレ 歌い方】『シンデレラボーイ』 (Saucy Dog)を上手に歌うコツ!(ポイント解説)

【曲名】シンデレラボーイ
【アーティスト名】Saucy Dog


今回は日本のロックバンドSaucy Dogの「シンデレラボーイ」を解説。この楽曲はSaucy Dogの5thミニアルバム「レイジーサンデー」に収録されている楽曲です。

 

「0時を回ると見慣れたはずのその背中がなんだか知らない男の人に見えて気持ち悪かった」
この楽曲では浮気されてしまった主人公の気持ちをストレートに書いています。MVを見ながら歌詞を読んでみるとより世界観に入る事も◎。
シンプルで分かり易い歌詞ではありますが、要所要所の言葉の言い回しがとても上手く、聴いている人が世界観をイメージし易い歌詞になっているのが特徴的。


・コードとメロディー・リズムの兼ね合いを検証

 

まずはAメロからアナライズ
AメロはコードがA-Bm7-C#m7-Dとダイアトニックコードをなだらかに上昇する進行から始まります。注目すべきポイントはなだらかに上昇した後のEのコード。
基本的には音楽では偶数小節単位でセクション、メロディ、コード進行が完結する事が多い。
そのため、コード進行上では2小節又は4小節で解決又は解決に導く流れを持ってくる事が一般的。(ダイアトニック上におけるコードの機能をT(トニック)・SD(サブドミンナント)・D(ドミナント)といいます。T-SD-D-Tの流れでコードが進行すると非常に安定した進行となります。)

 

しかし、このセクションでは5小節目にあたるコードが進行していく始まりの小節にダイアトニック上のD(ドミナント)であるEコードが使用されています。
改めて楽曲を聴いてみるとこの小節が少し浮いて聴こえてくるのに気づくでしょうか?

 

この箇所はメロディが食って入る部分となります。浮遊感を意識して置く事で音程を取り易くなります。またその後に出でくるG△7も意識をしておかなければならない部分。

 

モーダルインターチェンジというコード理論によって使用されているこの流れは、中々聴き慣れない進行になるので慣れるまでに少し時間が掛かります。
聴き慣れなれていない進行であるからこそイメージし易い場合もあります。しっかりと楽曲を聴いてコードの流れを掴みましょう。

 

 


Bメロに入ってからは少しリズムに変化が出てきます。
バンドアンサンブルとメロディのリズムを意識しないと走りがちになってしまうので注意が必要。

 

Bメロ頭の歌詞「わすれちゃいたいのに」
最初の「わ」と最後の「に」の部分は、ピタリとアンサンブルと合う部分になるのですが、真ん中の「ちゃい」の部分は歌詞の後にキメがくる形となっています。意識として言葉を「ちゃ」と「い」に分けて「い」の部分でキメがくるように歌唱できると良いでしょう。注意点として合わせようとするあまり「い」にアクセントがいかないよう気をつけて下さい。アクセントの位置が変わってきてしまうと言葉の伝わり易さがが変わってきてしまいます。この部分はなだらかに言葉でリズムを取るように意識をしましょう。

注意点として合わせようとするあまり「い」にアクセントがいかないよう気をつけて下さい。アクセントの位置が変わってきてしまうと言葉の伝わり易さがが変わってきてしまいます。この部分はなだらかに言葉でリズムを取るように意識をしましょう。


サビに入ってからはJ-pops定番のコード進行で進んでいきます。

 

サビ入りからこの楽曲での1番の高音であるC#音で始まりますのでかなりの注意が必要です。
またサビ入りはDコードから始まるのでコードに対する△7の音からメロディがスタートします。その後も6thの音が出できたりとサビ入りが1番音程を取りずらい部分となります。メロディとコードをイメージ出来るよう何度も練習を重ねてみて下さい。
サビの最後の部分ではKeyに対するブルーノートであるC音(b3)の音が出てきます。この部分が上手く決まるとサビがしっかり締まりますので意識をして下さい。

  


Dメロではブルージーなコード進行やモーダルインターチェンジでの借用が出てきたりと少し難しいコードが展開していきます。

 

まずは4小節目のD7。これはKeyに対するⅣ7でブルースなどでよく使われるコードとなります。この際メロディでは構成音であるCの音が使われています。
サビでブルーノートとして同様の音が使われていましたが、このセクションではコード諸共ブルージーな雰囲気にしています。

 

その後で出てくるCのコードはAメロで使われたコード理論と同じモーダルインターチェンジとなります。こちらも同様にブルーノートであるCの音を使っています。同じブルーノートの音となりますがコードが違う為響きが変わる所を意識して歌唱して下さい。また、歌詞の言葉の切れ目で上手くこのノンダイアトニックコードを使用する事により雰囲気が変わりより強調されて聴こえてくる所にも注目。


この楽曲では所々ノンダイアトニックの難しいコードはありますが、基本的にはコードに沿ったメロディで構成され、リズムも8分音符を中心に展開されるので音楽理論面で見れば歌い易い楽曲になっていると思います。
基本的なコードを意識した音程の取り方、リズムの考え方を学んだら是非どう表現するかを考えながらチャレンジしてみましょう。


・歌唱について

 

Aメロは中音域を約1オクターブ内を跳躍しながら動きます。音の高さごとに調整すると難しくなりますので、ポジションを安定させて歌いましょう。

 

サビは男声のチェンジを跨いでの旋律になりますので、高音をファルセットで歌うと下りの旋律が難しくなるかもしれません。出来るだけ息漏れのないよう声帯は薄く使う練習をしましょう。女声でもチャレンジできる音域となっていますので、是非挑戦してみて下さい。


 

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