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【ボイトレ 歌い方】『さよならエレジー』 (菅田将暉)を上手に歌うコツ!(ポイント解説)

【曲名】さよならエレジー
【アーティスト名】菅田将暉


【さよならエレジー 楽曲解説】

菅田将暉の大ヒットナンバー「さよならエレジー」を解説。この楽曲によってアーティストとしての菅田将暉を知った方も多いと思います。作詞・作曲は石崎ひゅーい、シングルとしては3作目となります。


【歌詞の考察】
この楽曲はドラマ「トドメの接吻」の主題歌になっていて作詞を担当した石崎ひゅーいは、ドラマの世界観に沿って詞を書いたとコメントしています。ドラマのあらすじを読むだけでも少し楽曲の世界観が鮮明になってきますので読んでみましょう。

 

歌詞を考察していくにあたってまず疑問となるのが「エレジー」という言葉。

これは英語で「悲歌・哀歌」という意味。タイトルに当てはめてみると「さよなら悲歌」という言葉になるのですが、これだけではまだ意味が鮮明にはなりません。

 

続いて、歌詞を読んでいきます。この楽曲では忘れる事が出来ない女性がいる主人公の憂鬱な気持ちをとても巧みに情景と掛けて言葉にしています。一部抜粋して意味を考察してみましょう。

 

「僕は今 無口な空に 吐き出した 孤独という名の雲」

無口な空とは孤立している主人公。広い空にポツンと浮かぶ雲を自分として孤独を表現。

 

「その雲が 雨を降らせて 虹が出る どうせ掴めないのに」

自分の行いによって希望が見えるときもあるが自暴自棄になり諦めている主人公。冒頭の歌詞を考察するだけでも言葉の選択の巧みさが伝わってきます。

 

そして、もう一つ注目して欲しいのが楽曲が終わりに近づくにつれて少しだけ希望に満ちた願望が現れる箇所です。Cメロの「流れ星を見た 流れ星を見た 願う僕の歌」やラストサビの「舞い上がっていけ いつか夜の向こう側」「うんざりするほど光れ君の歌」「もう傷つかない もう傷つけない 光れ君の歌」等少し前向きな言葉に変わっていきます。

 

ここまで考察をしてみると「さよならエレジー」とは自暴自棄になっている主人公が少し前を向き始める為の決意のような言葉に感じます。改めて楽曲を聴いてみると勢いのある力強いアレンジは主人公の強い決意を表しているのかもしれません。

 

いかがでしょうか?

少し考察をするだけでも歌詞の意味が体に入りやすくなったと思います。是非全体を通して歌詞を読んで1つ1つの言葉の意味を考えてみて下さい。


【メロディとコード・リズムの兼ね合いを検証】

 

ここからはコード進行やリズムにどのようにメロディが乗っているかをアナライズ。KeyはBbm、BPMは155。テンポの速い楽曲となるので4分音符、8分音符を中心にメロディが構成されています。

 

それではAメロからアナライズ。
コード進行は|Bbm|Fm|Gb Ab|Db|のパターンと|Bbm|Fm|Ebm Fm|Bbm|の2パターン。

ダイアトニックコードに沿った進行にシンプルなメロディラインで展開されています。2回し目では|Bbm|Fm|Ebm F|Bbm|とノンダイアトニックにより変化を付けBbmへの解決感を強くしている点に注目です。歌唱にあたって意識したいポイントはメロディのみ半拍前に次のコードのコードトーンを取っているという事です。

 

小節のコードとしてはノンコードトーンとなるのでピッチを取り辛いですが、次のコードを意識する事によって安定してピッチが取れるようになります。また、ノンダイアトニックであるFの際には3度にあたるA音がメロディに使われている点に注意をしましょう。1回し目とのコード進行の変化に気づけるとピッチを取り易くなります。

 


Bメロでは4分音符を中心にメロディが展開されています。

 

音符が長くなる事によって歌詞の言葉1つ1つが良く聴こえるのが分かるでしょうか?
言葉をより強調したい際によく使われるテクニック。コード進行は|Ebm| |Bbm| |B |A |F | |となっています。

 

C#mkeyから借用されたと思われるBコードが浮遊感を作りだし、歌詞の世界観を引き立てています。メロディでは2小節目、6小節目にブルーノートであるFb音(E音)が使われています。意識をしないとピッチがシャープしやすい箇所になるので注意をして下さい。

上手くピッチを当てれると、とてもクールな響きになります。

 

ノンダイアトニックであるBコードが使用される小節では全てのメロディがノンコードトーンかつコードトーンと全て半音でぶつかっている為、この楽曲での1番の注意ポイントとなります。メロディとしては1回し目と同じになるので頭の中にしっかりと音をイメージして歌い切って下さい。

 


次はサビをアナライズ。

 

コード進行は|Bbm|Fm|Gb Ab|Db|Bbm|Fm|Ab|Db Ab/C|となっています。

2回し目5小節目からはコード進行を循環させる為に使用されていたAb/Cコードがなくなり|Bbm|Fm|Ab|Db|となります。サビではダイアトニックコードから外れる事無くメロディが展開されていきますがAメロ同様半拍前に次のコードのコードトーンをとっている箇所が多くあります。

 

また、シンコペーションが多く使用されてる点にも注目をしましょう。シンコペーションは多くの人が次の音符まで音が伸びるという解釈をしている事が多いですが、本来の意味は「強拍と弱拍の位置を本来の場所からずらしてリズムに変化を与える」という意味合いになります。ですのでしっかりとタイで繋がっている箇所は弱拍である裏拍にアクセントをつけて歌唱する事でしっかりグルーブする事が出来ます。

 

下記譜面を見てシンコペーションの位置を確認して下さい。また、シンコペーションは裏拍を取る事に慣れていない人は非常にハシリやすくなってしまう技法でもあります。身体でリズムを取る際に表だけでなくしっかりと裏まで感じましょう。

 


Cメロでは、殆どのメロディがシンコペーションしています。

 

伸びのあるリズムになる事によって「流れ星をみた」という歌詞に広がる世界観が加わるのを感じるでしょうか?

 

また最後の2小節では4分音符のメロディになり対照的に「願う僕の歌」と言う歌詞が地に足のついた雰囲気でどっしりと聴こえてきます。歌詞とリズムの兼ね合いによって楽曲の世界観がとても変わるのが分かると思います。是非意識をして歌唱して下さい。

 


いかがだったでしょうか?

 

この楽曲は一見シンプルに見えて様々なテクニックが使用され作られています。さらっと歌ってしまうには簡単な楽曲になりますが、細かい所まで詰める事が出来るとさらにカッコよくなるでしょう。是非チャレンジをしてみて下さい。


【声について】

 

武骨なロック感を出たすためにあまり声を作り込まず、自分のスピーチクオリティの延長で歌ってみるとこの曲の雰囲気に合うでしょう。ビブラートもかけすぎない方がシンプルでカッコいいかもしれません。ただ、リラックスしすぎていると仮声帯の圧迫を招きやすく声の疲労につながるので、十分注意しましょう。


 

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