【ミュージカル曲コラム】『奇跡を夢見て/Waiting On AMiracle』ミラベルと魔法だらけの家/Encant 歌い方・歌 上達法
【曲名】奇跡を夢見て/Waiting On A Miracle
【演目】ミラベルと魔法だらけの家/Encanto
【演目について】
ディズニー・アニメーション・スタジオの記念すべき60作品目の長編映画で、南米コロンビアの奥地を舞台に、魔法の力を与えられた不思議な家に暮らすマドリガル家を描いたオリジナルミュージカル作品。一人だけ「魔法のギフト」をもらえなかった少女ミラベルが、マドリガル家の危機を知って立ち上がるストーリーとなっている。監督を務めるのは、世界的大ヒットを記録した『ズートピア』を手がけたバイロン・ハワード(監督)とジャレド・ブッシュ(共同監督・脚本)。
全ての音楽を手掛けるリン=マニュエル・ミランダは『モアナと伝説の海』の作曲を担当したほか、トニー賞でミュージカル作品賞など11部門を受賞した『ハミルトン』、トニー賞4冠・グラミー賞ミュージカルアルバム賞に輝き、映画化もされた『イン・ザ・ハイツ』など、近年の大ヒットミュージカルを数多く生み出している。
ミランダは、アフリカやヨーロッパ、先住民族の音楽が融合した「ラテン音楽」の持つ、予測できない生き生きとしたリズムが、家族関係の複雑さを最もよく表現できると提案し、チームを率いて本作の舞台となったコロンビアを訪れ、同国の音楽と文化についてさまざまな角度から研究したとされる。
【曲について】
マドリガル家に生まれた子供たちは、5歳の誕生日を迎えると特別な「魔法のギフト(才能)」を与えられるが、ただ1人だけミラベルは「魔法のギフト」を授からなかった。しかしミラベルは、魔法のギフトがなくても、特別な才能にあふれる家族の一員であることを誇りに、明るく過ごしている。そんなミラベルが心の奥底で抱えている本当の気持ちを歌い上げる。家族の中で一人違う存在でいることがいかに苦痛であるか、ほかのみんなと同じように見られることをいかに彼女が切望しているかをこの曲で吐露している。
本楽曲はコロンビアの伝統舞踊であるバンブーコの曲で、ミランダは現地への調査旅行の際に、地元ミュージシャンが3/4拍子で演奏していることに気づき、ミラベルが「他の家族とは違うリズムの世界」にいることを象徴するために、この拍子記号で曲を書いた。
【歌唱ポイント、アプローチ】
ブレスをただの息継ぎではなく、感情の表現に利用するように歌うと、ミラベルの心情がうまく表現できます。特に、歌い出しは伴奏がリズムを刻んでいないので、ブレスを意識して歌いましょう。
Bメロ以降は3拍子のリズムが楽曲にしっかりと入っているので、伴奏をよく聴いてリズムを感じながら練習すると良いです。この時、1拍目で手拍子をしながら練習すると効果的です。
「この願い」が3回来るフレーズでも呼吸の位置を意識し、2回目までを一息で、3回目の手前でブレスを入れると、どんどん思いが重なっていく表現が強調出来るので、やってみてください。また、盛り上がり後の歌い終わりのフレーズでは、ブレスの後に、ため息を吐くように「もう遅いの~」と歌い出すと、よりミラベルの抱えている思いを表現できます。