【沼先輩の活動ブログ4】『密着! THEハマナスSHOW レコ発LIVE』
5月1日。令和の始まりと共に、華麗に花ひらいたTHEハマナスSHOW。卓越したテクニックを持ちながら、どこか人肌の温もりを残す彼らの音楽と自由なバンドのあり方は、音楽を志す我々にとっても、大きな指針となり得るものだろう。今回はその開花宣言ともいえるレコ発LIVEに密着し、バンドの今を追った。
■THEハマナスSHOWとは?
ボーカルSHUKOこと横田トレーナーと、モア ポップスライブでもお馴染みの、リーダー関秀樹(g)、米田裕也(sax)、大西慶人(b)を擁する音楽ユニット。
令和元年5月、クラウドファンディングにより、全6曲のオリジナル曲を収めたミニアルバム『はまなし』をリリース。(敬称略)
会場は六本木 C・LAPS。あいにくの空模様で、夕方から急に激しくなった雨の中、足早に会場へと向かう。
前回の記事で触れた、僕のポップスライブ観察期における最大の発見は、演奏をしているミュージシャンの技術レベルの高さだった。
今から5〜6年前の話になるが、モアのポップスライブで、進行が予定外に早まったことがあり、司会をしていた横田トレーナーの計らいで、急遽、バンドがインストゥルメンタルでの生演奏を披露したことがある。
曲はUS3の『Cantaloop』だった。ほぼアドリブのはずなのに、まるで生き物のように躍動する演奏を目の当たりにして、僕は度肝を抜かれた。そのときから彼らの虜になった。
彼らが「ハマナス」としての活動を開始するのは、まだ少し先の話になるのだけれど、僕からすれば、それは願ってもない展開だったのだ。
PM 7時。花柄のワンピースに赤い帽子を被ったSHUKOが登場すると、マルーン5の『Sunday Morning』のカバーでライブはスタート。バンドは出だしから白熱したソロプレイを連発し、会場を沸かせる。
「お晩でございます。令和でございます。」
SHUKOのMCに、のっけから笑いが起こる。白熱した演奏の後のゆるいMCは、もはやハマナスのお家芸となりつつある。
1stステージはカバーとリクエストで構成され、スティービー・ワンダーやチャカ・カーンなどの80’sブラックコンテポラリーと、日本のニューミュージックを織り交ぜた、心憎い選曲となった。特に『Through The Fire』の後半の盛り上がりは、圧巻の素晴らしさだったと思う。
僕がリクエストしたユーミンの『きっと言える』は、この日、ボサノバ風にアレンジされて演奏されたが、以前NHKの「MSTER TAPE」という番組で、この曲でガットギターを弾いている細野晴臣氏がレコーディングを振り返り、「ボサノバのつもりで弾いた」と発言していたことから、そこに行き着くのもあり得ないことではないなあと、ひとりニヤリとしてしまう。
休憩を挟み、いよいよ2ndステージ。ここからオリジナル曲による構成になる。バンド名を冠した曲『ハマナス』のイントロのギターが高らかに鳴り響くと、澄み切った青空に舞い上がるような清々しい空気が会場を包む。
「咲続く 光になるまで」と歌うSHUKOの言葉が胸に迫る。
続いては、お馴染みのグルーヴチューン『Love affair』。6人編成ならではの緻密なバンドアンサンブルで、演奏はヒートアップ。今回はサポートメンバーも含めて、一歩も引かない豪傑ばかりが集まっているせいなのか、とにかくグイグイ来る感じが半端ない。
その後、ゆるやかなグルーヴが気持ちいい『ブランコ』、振り付けも楽しいロックナンバー『1234』と続き、米田、関が相次いで客席を駆け回るハイエナジーなファンサービスが飛び出すと、会場が歓喜に沸く一幕も。
続く『Farewell』は一転して、ジャズのスタンダードを思わせる、メランコリックなバラードだ。SHUKOの伸びやかな歌声が冴える。この振り幅の大きさこそがハマナスの真骨頂なのだ。
ラストは大西作曲の『笑顔の特等席』。プレイスタイルとトークのギャップが激しい大西だが、内に秘めた温かい思いが楽曲から伝わってくるようだ。
アンコールの『Change The World』を、ワイルドに、しかしそこは大人っぽくビターな演奏で締めくくり、ライブは無事にフィナーレを迎えた。
ステージ中央で寄り添うように並んだ彼らが、最高にカッコよく愛おしい。まだ小さなこの門出を、心から祝福せずにはいられなかった。
〈サポート〉
村越愛子(pf/key)
村上広樹(ds)
■セットリスト
〈1stステージ〉
1 Sunday Morning
2 Overjoyed
3 ロックンロール・ウィドウ(request)
4 Through The Fire
5 きっと言える(request)
6 This Night(request)
7 悲しみにさよなら
8 Sunny
〈2ndステージ〉
1 ハマナス
2 Love affair
3 ブランコ
4 1234
5 Farewell
6 笑顔の特等席
〈アンコール〉
Change The World
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【沼先輩】プロフィール
1969年、ロック年生まれ、ロック育ち。ロックなやつは大体友達。趣味はギター磨き。印刷業に従事するかたわら、日々ギターを磨いている。
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