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【ボイトレ 歌い方】『残酷な天使のテーゼ』(高橋洋子)を上手に歌うコツ!(ポイント解説)

【曲名】残酷な天使のテーゼ
【アーティスト名】高橋洋子


今回解説していくのは言わずと知れた大ヒットアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のオープニング曲である「残酷な天使のテーゼ」

 

先ず、歌詞を見ていきましょう。
楽曲の歌詞を改めて読んでみると哲学的な言葉や比喩表現、ダブルミーニングを用いた言葉が多く並んでいるため、一度読んだだけでは意味を理解するのが少し難しいと思います。作詞をした及川眠子さんは「『坊や大きくならないで』と願う母親の心情を書いた」と公言している事からこの楽曲は子を想う母親が主人公という事になります。

 

このキーワードがあるだけで歌詞の意味が大分紐解けてきます。また曲中に出てくる「テーゼ」や「パトス」という言葉
・テーゼ「命題。ある事柄を肯定的に主張すること」
・パトス「欲情・怒り・恐怖・喜び・憎しみ・哀(かな)しみなどの快楽や苦痛を伴う一時的な感情状態」
という意味のようです。

 

タイトルにもある「残酷な天使のテーゼ」とは
『溢れんばかりの愛情をくれる我が子(天使)が成長をして自分のもとを去る事は喜ばしい事でもあるが非常に残酷な事でもある』という思いを綴った言葉と解釈ができます。歌詞の中の想いや言葉の意味を知るだけで改めて読んだ時の感触が大分変わるのではないでしょうか?

 

是非もう一度目線を変えて歌詞を読んでみて下さい。


メロディとコード・リズムの兼ね合いを検証
ここからはメロディとコードをアナライズしていきます。

 

楽曲のKeyはEbとなります。(サビでは平行調であるCm)
この楽曲ではサビの終わり4小節をルバートして曲が始まります。メロディラインだけを見るとコードに沿ったラインになる為比較的歌い易いかと思いますがバックに流れているのがコーラスのみとなっている為アカペラの状態での歌唱となります。コーラスのハーモニーでコードを作っているのでコーラスを注意して聴きピッチ感を掴んでいきましょう。また4小節間ルバートをした後ドラムのフィルインによりインテンポとなります。

 

イントロではサビのメロディーをブラスによって演奏し、先程のルバートしているセクションとの対比で高揚感を煽っている点にも注目して下さい。


Aメロでの注目する点としては7小節目のDm7、8小節目のDm7/GそしてG7です。
Dm7はリレイテッドツー(リルツー)というコード理論によって現れるコード。8小節目のG7に向かうⅡm7を擬似的に作り出しています。Dm7/GはG7(9.11)というテンションコードの見方を簡略化したコードとなっています。


G7もノンダイアトニックコードとなるのですが本来この後はCmのコードに進むのが基本です。(セカンダリードミナント)

しかし、ここではEbに進む面白みのあるコード進行となっています。ここに注目をして楽曲を聴いてみるとG7から本来の解決先のCmに向かうと思いきや急に明るい雰囲気のEbに進む違和感に気付くでしょうか?

Aメロ頭に4分休符がある事によりメロディーの聴き馴染みを良くしている点も合わせるとかなり巧妙にコードとメロディ・リズムが組み合わさっている事が分かります。また、Aメロ全体のリズムの作り方にも注目です。16分音符の入ったリズムモチーフを使ってメロディの疾走感を作り出しています。リズムモチーフの符割を理解出来ると歌詞がダラッとせずに聴こえてきますので意識して下さい。


Bメロでもリズムモチーフを使用してメロディが展開していきます。

 

一見Aメロと同じモチーフに見えるのですが、言葉の開始地点が違う事に気づくでしょうか?
Aメロは8分音符が開始地点ですがBメロは付点8分から言葉が始まります。言葉の開始地点が変わる事によりリズムの感じ方が大分変わるので原曲をしっかりと聴いてリズムの取り方やアクセントの位置を練習して下さい。

 

また、メロディラインがコードのb7を中心に展開していく箇所が多い為少しピッチを取りづらいと思います。下記に度数を乗せた譜面がありますのでb7から始まる箇所やコードトーンでない部分などを確認しましょう。

サビに入ってからは2小節で1セットのリズムモチーフが繰り返し使われています。ここでも16分音符を使う事により疾走感を作り出しています。注意すべきな所は、疾走感と走るは別物という事。Aメロ、Bメロにも当てはまる事なのですが、16分音符が使われるという事によって疾走感が生まれているので16分音符の箇所は走らないようにずっしりと構えて歌唱するよう心掛けて下さい。ここて走ってしまうとただただ忙しなく聴こえてきてしまう上に言葉の輪郭もボヤけてしまいます。

 


メロディ・リズム・歌詞どれをとってもキャッチーなものになっていてメロディラインと歌詞を覚え易いのではないでしょうか?
最近の楽曲と比べてメロディの難易度もさほど高くはないのでさらりと歌えてしまうと思いますが、16分音符やシンコペーションの意識を疎かにしてしまうとダラっとして聴こえてしまうので注意をしましょう。InC-A-B-Cと盛り上がる展開が分かりやすい楽曲にもなっているのでリズミカルにダイナミクスを意識して練習を重ねて下さい。

 


声について
最近の曲と比べると声帯を厚く使い(ChestやChest Mixなどと呼ばれる声種)、喉頭も低めで重厚感ある声で歌うのが映える曲です。Aメロ、Bメロ、サビで声帯の使い方や声のトーンを変えることによってダイナミズムが生まれます。普段よりも思い切って強弱をつけて歌ってみましょう。


 

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