ボイストレーニングコラム

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【ボイトレ 歌い方】『オトナブルー』 (新しい学校のリーダーズ)を上手に歌うコツ!(ポイント解説)

【曲名】オトナブルー
【アーティスト名】新しい学校のリーダーズ


【オトナブルー 楽曲解説】

MIZYU、RIN、SUZUKA、KANONからなる4人組ダンスボーカルユニット、「新しい学校のリーダーズ」がリリースした楽曲。作詞は新しい学校のリーダー達、作曲はyonkey。ダンスミュージックに和のテイスト(特に昭和のテイスト)を活かした楽曲達は、日本のみならず世界でも注目されています。

 

今回の楽曲である「オトナブルー」は、サビ中でおこなわれる「首振りダンス」がTikTokで大流行し、2023年には紅白歌合戦にも出場しました。歌だけでなく、独特でキレキレなダンスも魅力で度々、話題となっています。


【サウンドとリズム】

全体的な特徴として、80〜90年代風のエレクトロなサウンド。

 

ドラムには80〜90年代に流行した、電子ドラム「シモンズ」風の音色が使われています。日本の楽曲だと、「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HIRO / 麻倉未稀」や、「Romanticが止まらない/C-C-B」などでそのサウンドを聴くことができます。

 

また、ファンクなどで使用されるクラヴィネット風のリードシンセで弾く、リズミカルなリフも楽曲の特徴の一つ。

現代的なサウンドアプローチとして、イントロなどで使用されているサンプル音(人の声を録音し、部分的に使用するサンプラー的なアプローチ)、DJのスクラッチ音、宇宙・神秘的な印象のパッドシンセなど、比較的楽器数としては少なめに構成されています。

 

歌う際の注意点として、全体的に間(休符)がよく出てきます。フレーズ頭でタイミングを合わない…といったことにならないよう、しっかりと自分の中でリズムキープすることを心がけて練習していきましょう。


【セクション毎のメロディ解説】

まずは全体の考察。今回の楽曲のキーはEm(G)。

リフレインフレーズが多いので、ポイントとなる箇所をおさえれば、すぐに曲を覚えられるでしょう。音程も楽曲中の最高音がC5で、全体的に低めの音で構成されています。ただし、臨時記号や部分転調を行う箇所が出てくるので、歌ってみると意外と音を取るのが難しいと感じるかもしれません。セクション毎のポイントをおさえて、正しい音程で歌っていきましょう。


 

「わかってる ほしいんでしょ」 から始まる箇所。

マイナーでどこか日本情緒を感じるフレーズ。こちらは曲中、何度も出てくるメロディとなりますので、しっかり抑えておきましょう。歌い方としては、1音1音ハッキリと歌うというよりは、音を繋いでいくようなイメージで歌うとよい。鼻に抜けるような発声のイメージを持つこと。

 

「ヤワな」の「ヤ」の箇所で、臨時記号フラットが出てきます。半音下の音となる、こちらは「ブルーノート」と呼ばれる音になります。

 

ブルーノートとは3度、5度、7度の音で半音下に下がる音のこと。ギターや歌において、素の音(ここではフラットのついていない音)に届かない、ギリギリのラインの音で哀愁を漂わせることから、ブルース、ジャズ、ロックのようなジャンルで使用されます。


 

「ねえ なにをきたいしてるの?」の箇所。

こちらのフレーズでは臨時記号のシャープが出てきます。メロディとしては半音で上下移動を繰り返す8分音符のフレーズとなっています。

 

コードとメロディについて分析してみると、B7の構成音であるミbの音(M3rdにあたる音)となっています。また、B7はセカンダリー・ドミナントとして、サビのEmへと綺麗に繋ぐ橋渡しの役をしています。コードの響きも聴きつつ、音を当てていきましょう。


 

「そのうちじゃなくて」から始まるサビの箇所。

まずはこのセクションのコードを分析。

 

サビ前半のコード進行は、

[ Em – A – D – Bm – Em – F#7 – Bm – B7/D# ]

( Ⅵm – Ⅱ – Ⅴ – Ⅲm – Ⅵm – Ⅶ#7  – Ⅴ – Ⅴ7/V♯)

となっています。

数字でみるとⅡとⅤとⅦ#7はノンダイアトニックコードにあたります。一見、不思議で浮遊感があるコード進行ですが、見方を変えて考察してみると、Bm(D)へ部分転調していると解釈することができます。

 

キーがDのダイアトニックコードを並べてみると、[ D – Em – F#m – G – A – Bm – C#m7b5 ]となります。

 

今回のコード進行と照らし合わせると、最後のB7以外は全てDのダイアトニックコードに収まっていることがわかります。そして、B7/D♯(Bmの同主調)でEmのキーへと戻ってゆくような仕組みとなっています。

 

こちらを踏まえ、メロディを確認していきましょう。


「おとなのこいにこがれて」の箇所で臨時記号のシャープが2つ現れますが、Bm(D)のキーに部分転調しているので、Bのメロディックマイナースケール、もしくはハーモニックマイナースケールに構成されていることになります。音程はしっかりと当てられるよう、譜例を参考にしながら音取りをおこないましょう。

 

またリズムも16分音符でシンコペーションするメロディが増えます。しっかり地に足をついて走らないよう、リズムを感じながら歌いましょう。

 

ラスサビの最後の部分では、歌だけになります。こちらは、演歌や民謡などで使用される「こぶし」と呼ばれるテクニックを使っています。こちらも綺麗に音を繋ぐよう歌うことで、カッコよく楽曲を締めましょう。


【声について】

 

深い響きの声で歌うために、喉頭を少し低めに保ちましょう。

喉頭が低いと高音が出しにくくなる傾向にありますので、最近のJ-POPの傾向とは異なり、トップの音が低めに設定されています。声帯を薄く弱めに歌うと山口百恵さんや中森明菜さんのように、厚めに歌ったり少しがなったりすると和田アキコさんのような響きに近くなります。サビは少し無機質な声で歌うと曲の浮遊感とマッチします。前半はリラックスして歌いこみすぎないように抑え、後半に向かってダイナミックに歌いましょう。


【豆知識】

 

今回の楽曲の元ネタですが、以前からSuzukaさんが大ファンであることを公言している和田アキ子さんの「古い日記」のオマージュだと思われます。

2023年のFNS歌謡祭では晴れて同曲でコラボされていましたね!山本リンダさんの「どうにも止まらない」など、昭和歌謡の影響を受けた、新しい学校のリーダーズ。学生から昔懐かしく感じる世代の方にも受け入れられる楽曲性から、今後のご活躍にも期待が高まります!

 

音楽の世界でも過去に流行したものがまた流行るということが繰り返していますので、昔懐かしく感じる世代の方も多いのではないでしょうか?


 

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