歌がうまく聞こえる“仕組み”入門。倍音・響き・ビブラートをやさしく理解する
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「同じ音程を出しているのに、上手い人は“いい声”に聞こえる」「小さな声でもスッと通る人がいる」──これは才能だけの話ではありません。初心者でも理解できる“音の仕組み”を知ると、練習の方向性が一気にクリアになります。
今回は、よく耳にする3つのキーワード、倍音・響き(共鳴)・ビブラートを、できるだけやさしく整理します。
まず倍音です。たとえば「ラ」という音には、中心になる音(基本の高さ)があります。しかし、私たちが「豊か」「明るい」「あたたかい」「キラッとしている」と感じるのは、その中心の音だけではなく、上の成分がいくつも混ざっているからです。この“上に重なる成分”を倍音と呼びます。倍音の出方が整ってくると、声が前に飛びやすくなり、同じ音程でも「上手そう」に聞こえやすくなります。
次に響き(共鳴)です。倍音はたくさんありますが、その中で“まとまって強くなる帯域”が生まれます。これが声のキャラクターを決める大きな要素になります。ここで大事なのは、声の良し悪しが「声帯のパワー」だけで決まるわけではないことです。口の開け方、舌の位置、喉の空間の作り方など、**声の通り道(共鳴の形)**で音色は大きく変わります。つまり、初心者でも練習で「響きの作り方」を育てられます。
では、今日から何をすればいいのでしょうか。おすすめは、難しい理論よりも“体感”を先に作ることです。
① ハミング「んー」→少し口を開いて「ん〜あ」
響きが前(頬・唇のあたり)に残るように、そっと開きます。大声は不要です。「響きが前に集まる感じ」を探しましょう。
② 母音のフォームを変えて録音する
同じ音程で「ア」「オ」「イ」を歌い、録音して聞き比べます。母音の形が変わるだけで音色が変わるのは、倍音の出方や響き方が変化するからです。自分の声がどう変わるかを、耳で確認するのが近道です。
③ “モノマネ”は実は上達法
好きな歌手の声に近づけたいときは、ただ雰囲気で真似するのではなく、「母音の形」「響きの場所」「息の量」を観察して真似してみてください。音色が寄るときは、倍音や響きのバランスも寄っています。初心者ほど、上手な人の“型”を借りるのが効果的です。
最後にビブラートです。ビブラートは、声が自然に揺れる現象のことです。初心者が気をつけたいのは、「無理に揺らそうとして喉を固めない」ことです。まずは真っすぐ伸ばすロングトーンが土台になります。その上で、力みが抜けてくると自然な揺れが出てくる人もいますし、後から練習で整えることもできます。ビブラートをかけているほうが、体感的に音程が安定する人もいますが、最初は“揺れより安定”を優先して問題ありません。
まとめると、いわゆる「いい声」は、特別な才能だけで決まるものではなく、倍音(音の成分)と響き(通り道の形)を整えることで育てられるということです。次に歌うときは、音程を当てるだけでなく、
- ハミングで響きを前に集める
- 母音の形を整える
- 息を押しすぎず、ラクに鳴るポイントを探す
この3つを意識してみてください。初心者でも、上達の手応えがぐっと増えていきます。
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