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【校長ブログ】11月3回目のセッションを終えて

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11月3回目のセッション会。

在籍生徒さん・講師による演奏会を終え、私自身があらためて強く感じたことがあります。それは、「大人が安心して“ありのままの自分”を表現できる場がどれほど貴重で、そして、みなさんを前向きにするか」ということです。

日常生活のなかで、私たちは多くの場合、役割や立場をまといながら生きています。家庭、職場、社会——どこにいても、何かしらの“ふさわしい姿”を求められ、つい本当の自分を奥にしまいがちです。しかし、セッションの場では、皆さんがその鎧をそっと下ろし、歌というもっとも個人的な表現を、まっすぐに差し出してくださいました。そこに立ち会えたことは、校長としてこれ以上ない喜びでした。


初参加で緊張しながらも「悔いのない歌唱ができた」と語ってくださった方。人前が苦手なのに「応援してくれる表情に力をもらった」と話してくださった方。逆に「余裕がなく不完全燃焼だった」と正直に打ち明けてくださった方。そして、みなさんが口をそろえて言われていたのは、「あたたかい」「尊重し合える」「こんなコミュニティがあってよかった」という言葉でした。


音楽にはその人の人生がにじみます。声の震えや呼吸の間、選んだ曲、歌い方の癖。それらは単なる技術ではなく、その人が歩いてきた時間の証のようなものです。だからこそ多様で、だからこそ美しいと感じるのです。

今回の会では、年齢も職業もまったく異なるメンバーが集まりながら、互いの違いを尊ぶ空気が自然に生まれていました。これは私たちが最も大切にしてきた“安全で開かれた学びの場”が、確かに根づいてきた証だと感じています。

もちろん、緊張したり、不満が残ったり、歌いながら課題に気づいたりする瞬間もあるでしょう。しかし、それらは「次に進むための前向きな違和感」です。うまくいかなかったときほど、成長の扉は静かに開きます。今回そうした感覚を言葉にしてくださったこと自体、素晴らしい学びのプロセスです。


懇親会やランチでの交流を「普段出会えない人と話せてよかった」と言っていただけたことも素晴らしく。歌は一人で向き合う時間が長いものですが、同じ“音楽が好き”という一点でつながったとき、こんなにも人は温かくなるのだと再確認した次第です。

これからも、皆さんが安心して挑戦し、表現し、喜び合える場をつくり続けたいと思います。この経験が、次の歌への小さな勇気になりますように。


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