【第1回】声の名前が多すぎて混乱する人へ:裏声・ファルセット・ヘッドボイス・ミックスボイスの整理
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初心者の方がつまずきやすいのが、「裏声」「ファルセット」「ヘッドボイス」「ミックスボイス」など、声の呼び方がたくさん出てくることです。言葉が増えるほど、「結局どれが正しいの?」「同じことを別の名前で言ってるの?」と感じやすくなります。
ここで大切なのは、これらが“同じ種類の言葉”ではないという点です。つまり、同じ土俵の言葉として並べると、かえって混乱が大きくなります。
1) 4つの視点で分けると、整理しやすくなります
声の用語は、ざっくり次の4つの視点が混ざりやすいです。
- どう聞こえるか(聞こえ方)
- 体の中で何が起きているか(状態)
- 自分はどこに響くと感じるか(感覚)
- どう作っているか(作り方)
この4つを意識しておくと、「同じ声を別の角度から呼んでいるだけなのか」「そもそも見ているポイントが違うのか」が分かりやすくなります。
2) 「裏声」は、まず“聞こえ方”の言葉として捉える
裏声は、初心者の段階ではとくに**「弱くて軽いふうに聞こえる」**という“聞こえ方”のまとめ言葉として整理すると分かりやすいです。
高い声になったときに「弱く聞こえるものを裏声と呼びやすい」という感覚が、現場では起こりやすいからです。まずは「裏声=こういう印象に聞こえる声」と捉えると、入口がシンプルになります。
3) 「ファルセット」は、“状態”の言葉として切り分ける
ファルセットは、裏声っぽく聞こえる声の中でも、声帯が開いていて息が漏れている状態として扱われます。
つまり、ファルセットは「どう聞こえるか」というより、体の中の「状態」を説明する言葉です。裏声(聞こえ方)とファルセット(状態)を同列に並べてしまうと、ここで混乱しやすくなります。
ポイントは、ファルセットは“状態”として覚えておくことです。
4) 「ヘッドボイス」は、“感覚”としての言葉が中心です
ヘッドボイスは、どこに響きを感じるかという“感覚”の側面が強い言葉です。
高い声を出すとき、音が上がるにつれて「響きが上に上がっていく感じ」「頭の中に入っていくような感覚」を持つ人がいます。高音で使う筋肉の働きも関係して、そう感じやすい、という説明につながります。ここも重要で、ヘッドボイスは「状態そのものの名前」というより、自分の感じ方(感覚)を軸に語られやすいと押さえておくと整理しやすいです。
5) 「ミックスボイス」は、“作り方”の言葉です
ミックスボイスは、言葉のとおり「ミックス=混ぜる」なので、声そのものの名前というより“作り方”として説明されます。
「弱々しく聞こえる裏声を、安定させて、地声のように聞かせるために何かをミックスする」という発想で語られることがあります。ただし“無理やり熱くすると苦しそうに聞こえる”方向にもなり得るため、混ぜ方・作り方として捉えるのがポイントです。
6) さらに混乱する理由:ジャンルで言葉の使い方が違う
もう一つ大事なのが、ジャンルによって言葉の使い方や、どこを聞いて分類するかが違うことです。
クラシックを学んできた人がミュージカルやポップスに触れると、ポップス側の用語にあまり触れずに来ているため、イメージワード中心で話していたことに気づく、という流れもあります。ポップスの中でも認識がずれることがあるので、「用語の正解」を探すより、今はどの視点(聞こえ方/状態/感覚/作り方)で話しているのかを揃える方が、会話も練習も進みやすくなります。
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