ボイストレーニングコラム

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【ボイトレ 歌い方】『酔いどれ知らず』(Kanaria)を上手に歌うコツ!(ポイント解説)

【曲名】酔いどれ知らず
【アーティスト名】Kanaria


2022年5月にボカロPである「Kanaria」がリリースした楽曲。
楽曲中のボーカルパートは、ボーカロイドの「GUMI」を使用して制作。ニコニコ動画でも自身7曲目となるミリオンを達成。Billboard JAPANのUGCソングチャートでも、首位を獲得した。


【リズム】

ジャンルとしてはヒップホップからの影響が強い楽曲。
題名の通り、「お酒にただ酔っている」というよりは泥酔しているような感覚を表現しているビート感。16分音符のバウンス感がその感覚を上手く表現している楽曲です。

 

ドラムに注目してみると、短い音色と少ない音数で構成されています。ハイハットの音数がサビに行くにつれ増え、よりバウンス感を強調。ハイハットと同様にギターもリズムを強調するべく、カッティングフレーズが増えていきます。
ギターが白玉での演奏や休符が多い中でも、ベースは楽曲のコード感とグルーヴをリードする役割として、常にどのセクションでも鳴っています。他の伴奏楽器でコード感を感じづらい楽曲だと思いますので、ベースをよく聴きながら歌うとピッチも安定するのではないでしょうか。

 

歌のリズムも同様に16分音符のバウンス感をしっかり出すことがポイント。ハネ感を意識しつつも、ハシらないように気をつけましょう。


【メロディ】
曲の大半が循環進行 [ D (Dmaj7) → C#7 → F#m → E ] で構成されている、今回の楽曲。定番進行のⅣ-Ⅲ7-Ⅵm7-Ⅴを少しアレンジしたコード進行になっています。この進行は「Just The Two of Us」で使われたことで有名になったコード進行で、J-POPSでは、椎名林檎さんの「丸の内サディスティック」でも使われており、通称「マルサ進行」と呼ばれるくらい、メジャーなコード進行。
キーはF#m( Major Key:A)となっています。

 

マイナーキーの感覚を掴むためにも、日々のボイストレーニングの項目に、「マイナーペンタトニックのスケール練習」を取り入れることもおすすめします。


 

歌い出しの「夢が醒めた♪」からのAメロのセクション。
1小節間のメロディフレーズをリフレイン(繰り返し)するフレーズ。

 

コードとメロディをアナライズすると、「ゆめがさ〜」までの箇所がDのコードの3rdの音、「めた」の箇所がC#7の3rdの音にあたります。3rdの音は比較的音程が取りづらいと思いますので、歌う際に注意が必要。

 

リズムの上で気をつけるべきポイントは、3、4拍目「めた」「らず」の16分音符の位置。決して、イーブンなリズムではない点に注意。楽曲が持つバウンス(ハネ感)感をしっかり表現できるよう、繰り返しメロディのリズムを聴き、体で覚えましょう。コツとしては、「めた」の位置で重心が落ちるイメージを持つとよいかと思います。


 

「うっちゃるしあわせ♪」から始まる、Bメロのセクションでは、スピード感のあるリズミカルなフレーズが続きます。最初の8分休符から最初の音はDのコードに対して5thの音程。「しー」の箇所のシンコペーションのリズムの位置に注意しましょう。

また、4小節目の「みみをかす♪」では、3連符のメロディとなっています。

 

「とき♪」以降は16分・8分に戻る点に注意が必要。流れるようにフレーズを歌えるよう、繰り返し練習して体に覚えさせましょう。


 

「そして♪」から始まる、サビのセクション。
サビに入ると上昇下降フレーズが見受けられます。マイナーペンタトニックのスケールで構成されたメロディ。言葉数が多くなるので、ハシらないようリズムにも気をつけて歌いましょう。

 

「ミリグラム♪」の「ム」のところでは、音符間で音程を素早く上げ下げするテクニックが使われています。素早く音程を取れるよう、繰り返し練習しましょう。

2番のAメロのセクションの「数知らず♪」のところでは、バックのオケの音が消え、ボーカルパートのみになります。しっかりビートを感じて、リズムキープ。


 

ラストサビ終わりのアウトロのセクション。

こちらはフェイクと呼ばれる歌唱法になります。F#mのペンタトニックスケールで構成されたメロディとなっています。素早い音程の動きをスムーズに歌えるよう、繰り返し練習しましょう。


【声について】

ボカロ曲だからこそ「自分らしく自由な表現」で歌う。
上記にあるような楽曲のポイントに注意して、淡々と歌ってみたり、エモーショナルに歌ってみたりと色んな歌い方に挑戦してみましょう。そのためには、声帯の厚さをスムーズにコントロール出来るように練習しましょう。大きく歌う時と小さく歌う時にフォームが大きく変わらないように注意してください。


【豆知識】

数々の歌い手さんがカバーしている今回の楽曲。
「歌ってみた」では歌い手によって、キーを変えるのもポイントの一つ。ボカロ系の楽曲の特徴として、「歌ってみた」のカラオケ音源を無料配布している場合があります。ボカロPの公式チャンネル等をチェックしてみて、みなさんも本格的に「歌ってみた」に挑戦してみてはいかがでしょうか。


 

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