キーボディストによる音源を聞き分ける講座 第1回~音楽の“裏側”を知る導入編~
第1回:音楽の“裏側”を知る導入編
「いつも聴いている音楽って、どうやって作られているんだろう?」そんな疑問を持ったことはありませんか。
MOAライブでおなじみのキーボディストをお呼びして、音源の作り方や楽器の役割を“聞き分け”の視点で教えていただいた配信講座。その内容を「歌に役立つ記事」として紹介させていただきます。全5回、読み応えのある内容となりました。
今回の講師(キーボディスト)は、Japan JAMなど有名アーティストとの演奏などでも活躍中。
キーボディストってどんな仕事?
バンド演奏やライブでキーボードを担当するほか、さまざまなアーティストのレコーディングやアレンジも手がけています。アレンジャーとは、作曲家から届いた「ふんふん」と鼻歌のようなメロディを、実際の楽曲として形に仕上げる役割。流行や楽器編成を踏まえて「どうすれば一番かっこよく聴こえるか」を考え、音楽を完成させる重要な仕事なんです。
マニピュレーターという役割
最近のライブでは「マニピュレーター」という職業も欠かせません。バンドは人数に限りがありますが、実際の音源にはストリングスやホーンなど、さまざまな音が入っています。それを再現するために、パソコンから音を出すのがマニピュレーターの役割。
例えば、ドラマーやベーシストが演奏しながら同時に操作することもあれば、ステージ袖で“音だけ”を担当する専任のマニピュレーターもいます。今の音楽シーンではすっかり定番の存在です。
DAWとDTMって何?
音楽制作の現場では「DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)」というソフトが使われています。Logic、Cubase、ProTools…といった名前を聞いたことがある方もいるかもしれません。これらは楽器を演奏する代わりに、コンピューター上で音を並べ、録音し、曲を完成させるためのツールです。
似た言葉で「DTM(デスクトップ・ミュージック)」という表現もありますが、こちらは行為そのものを指す言葉。つまり「DAWを使って曲を作る=DTMをしている」という関係です。
ボーカロイドとAI歌声
さらに最近では、ボーカロイドやAI歌声合成ソフトも活躍しています。人間の歌声に近づけるタイプや、あえて機械的な声を楽しむタイプなどさまざま。日本ならではの「初音ミク文化」も、こうした技術から生まれました。「人間の歌が機械に奪われるのでは?」と心配された時期もありましたが、実際には共存しながら新しい音楽文化を作り出しています。
まとめ:まずは音楽の仕組みに触れてみよう
普段は「歌」として聴いている音楽も、裏側では多くの役割や技術が支えています。次回からは、ドラムやベース、ギター、キーボードといった“楽器ごとの音の聴き分け”を体験していきます。
「カラオケでは気づかなかった音が聴こえてきた!」そんな発見につながる講座になるはずです。お楽しみに。