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白い恋人達 楽曲解説|桑田佳祐の名バラードをコード・リズムで読み解く|モア東京ボーカル教室

🎯 この記事のポイント

2001年リリース、桑田佳祐の名バラード「白い恋人達」を、コード・リズム・歌唱の観点から解説します。70年代ブリティッシュロックの影響、BPM76のハーフタイムシャッフル、モーダルインターチェンジによるF・F△7の浮遊感、強進行、サビのセカンダリードミナント——。仕組みを知ると、冬の名曲がさらに味わい深くなります。

 

今回はサザンオールスターズのボーカル、桑田佳祐のソロ活動での7thシングル「白い恋人達」を解説。

 

2001年に発売されたこの楽曲は累計売上123.1万枚を記録し、冬の名曲として今も尚幅広い年代から愛されている。

 

この楽曲のアレンジは桑田佳祐曰く、70年代のブリティッシュロックバラードの影響を濃く受けているとインタビューで語っている。ピアノを中心に弦やブラス、鈴などはエルトンジョンとジョンレノン。コーラスはビーチボイーズ。ギターソロはポールマッカートニーと様々なアーティストの影響があるという。

 

桑田佳祐の聴いてきた音楽がどの様に消化されているかがとても分かる楽曲になってるので是非上記のアーティストを聴いてみて欲しい。


歌詞の考察

 

この楽曲のタイトルは桑田佳祐が1968年に公開された「白い恋人たち」という映画に影響を受けて付けられた。

 

歌詞の内容としてはテレビ番組のロケで訪れた北海道での体験が大きく影響している。特に網走刑務所で服役中の人たちの前での歌唱や流氷船での思い出が色濃く残っているとインタビューで語っている。

 

元々桑田佳祐はストーリー性よりもメロディに乗せた際の語感やリズム感を優先した作詞。それによりメロディの変化と言葉のイントネーションに違和感がなく、より聴き手に言葉を伝える事が出来る。この楽曲も例外では無く、桑田佳祐自身の思い出と経験から溢れ出た言葉で書かれているので、言葉選びの美しさやメロディとの兼ね合いを意識すると桑田佳祐が天才と言われる所以がよく分かる楽曲となっている。


メロディとコード・リズムの兼ね合いを検証

 

BPMは76。Key=Gメジャー
16分音符がハネるハーフタイムシャッフルとなっている。

 

Aメロコード進行

|G Am7 |D G D/F#|Em7 A7|Am7/D D| |Bm7 Em7|Am7 D|Bm7 Em7|F Am7 D| |G Am7 |D G D/F#|Em7 A7|Am7/D D| |Bm7 Em7|Am7 D| |Bm7 Em7|2/4 F△7|Am7/D D7|

 

Aメロではダイアトニックコードを中心に美しい流れのコード進行で展開されている。ノンダイアトニックコードとしてはモーダルインターチェンジにより現れるFとF△7となっている。

この際の2つのコードはルートは同じだが意味合いは全く違うコードとなっているので注意が必要。

 

8小節目のFの場合は同主調であるKey=Gmからの借用となっているが、16小節目ではKey=Cメジャーからの借用となっている。両方共宙に浮いたような独特の浮遊感のあるコードだが、F△7の方が柔らかさや暖かみが残り歌詞と非常にマッチしたサウンドとなっている。また、D/F#、Am7/Dのオンコードも役割が異なってくる為、意味をしっかりと認識しておきたい。

 

D/F#の場合、前と後のコードのベースラインをなだらかに繋ぐ為に使用されている。これによりベースラインがG-F#-Eとスケールを階段上に下がる事が出来るので、進行の流れがとてもスムーズに聴こえてくるようになる。Am7/Dはサブドミナントとしての機能を持っており、D7(9.11)の言い換えとなっている。テンションに11thが入る事により続くDコードで解決感を得る事が出来る。オンコードの役割を見抜くコツとしてベース音がコードの構成音となっているかを意識して欲しい。構成音の場合はベースラインを繋げる為に使われる事が多く、そうでない場合は難しい名前のコードを簡単に言い換えているか、特殊な別のコード理論を使用。

 

また、5・6小節、9・10小節目では強進行(ルートが4度上へ進む動き)を繰り返すコード進行となっており、こちらも非常に心地良く美しい進行となっている。

 

メロディラインとしてはAメロ内で2つの展開があり、どちらも巧みに美しく構成されている。

前半4小節では2小節単位のモチーフを使用しているが、1小節目、3小節目に向かうアウフタクトで始まるメロディに注目。

 

始まり以外両方共3拍目頭まで同じメロディラインとなっているがアウフタクトの1音が入るだけでメロディの表情に変化が生まれている。前半モチーフでは明るく期待感があるが、始まりに下降に向かう1音が入るだけで全く別の落ち着いた雰囲気に変わっている。1小節目はGコード、3小節目はEm7コードとメジャーマイナーで雰囲気を変えているがメロディ単体でも聴こえ方を変える非常に巧みなテクニック。

 

後半4小節ではモチーフと思われる箇所は無いが、動きの多い難しいメロディとなっている。

 

注目すべきはBm7時のメロディライン。
C#の音が入っている為、ここではGメジャースケール以外のスケールを使用している。Bm7で使われているメロディをアナライズしてみると「b3・2・b3・b3・5・b6」となる為、以上の音が入っているスケールから使用されているのはBマイナースケールという事が分かる。コードを単体で考えスケールを当てはめるという少しジャズに近いアプローチとなっていので是非意識をして聴いてみて欲しい。

 

リズムとしては殆どのメロディ16分音符でシンコペーションをしているので16分のノリを自分の中に作っておく事が非常に重要。また、5・7・9・11小節目の始まりのメロディはシンコペーションをしておらず、頭拍でメロディが始まっている。これによりリズムが地に足が付いたようにドシっとし展開の変化を生み出している。

 

もう一つこの楽曲を歌唱する際に非常に重要な点はメロディが限りなくイーブンのリズム(ハネないリズム)に近いという事。
楽曲の初めからバンドインまででメロディ以外で16分音符を使用しているのはオルガンで演奏されているイントロフレーズの3拍目のみとなっている。
12小節でドラムとベースが入りやっとハーフタイムシャッフルの楽曲という事が分かる。メロディ自身も全くハネていないという事では無く、サビ前のキメなどでは楽器隊とリズムがしっかり合っている。場所によりハネ具合が変わっているので注意をして欲しい。

 

 


Bメロ(サビ)のコード進行と展開

 

Bメロコード進行

|C△7 |Bm7 E7 | |Am7 Am7/D D7|G G7 | |C△7 |Bm7 E7| |Am7 Am7/D D7|Eb△7 F |G |

 

サビではE7やG7などセカンダリードミナントを使用し彩りを加え最後はモーダルインターチェンジによるEb△7-Fでサビをダイナミックに締めている。

 

セカンダリードミナントはV7以外のドミナント7thコードを作り出す技法の事で作り出されたドミナント7thコードは4度上のダイアトニックコードに解決する事が一般的。

 

E7はAm7にG7はC△7にしっかりと解決している点に注目をして欲しい。モーダルインターチェンジであるEb△7とFは同主調のKey=Gmから借用している。コード進行に壮大でダイナミックな雰囲気を加える事が出来る定番の使い方となるので覚えておきたい。

 

メロディラインとしては前半と後半に分ける事が出来、前半では同じ音を連続で使用しスケールを階段上に下がっている。ここで非常に秀逸なのが、音程が下がるのが頭では無く16分裏という点だ。弱拍でメロディラインが変化する事によりアクセントが付かず滑らかにメロディを下降して行く事が出来ている。

 

後半ではでは8分音符を交えてゆっくりと下降させ、次に繋ぐ為に上昇している。また8小節目のモーダルインターチェンジの箇所ではまた下降させ解決に向かっている。全体的になだらかにスケールを下降上昇している為とても柔らかく優しい雰囲気のメロディラインとなっているがメロディの始まりや終わりなどは跳躍をしダイナミックさを作り出している点にも注目。

 

リズムとしては先述の通りメロディラインが柔らかい雰囲気の為、16分音符でシンコペーションをするなどして勢いをつけている。特に2・4小節目の3・4拍目などで8分音符で助走を付け16分音符で一気に疾走感を作るリズムはとても素晴らしいので意識をして聴いてみて欲しい。また、7小節目4拍目では先程とは逆に16分音符から8分音符を使いリズムにブレーキを掛けてその後の8小節目を効果的に聴かせている。

 

 


まとめ

 

巧みなテクニックが随所に使用されている素晴らしい楽曲だが、アナライズをしてみるとメロディラインに型が無く、語感を大事に感覚とセンスで作曲をしている事が良く分かる。

 

素晴らしい歌詞がメロディがリズムが抵抗無くすっと身体の奥に入ってくれる為、この楽曲がヒットを記録した事は必然と思える。是非細部までアナライズをして、天才桑田佳祐の一部を自分のものにして欲しい。


声について

 

全体を通して自然な歌声です。唇や顎周り、舌がとリラックスした状態で歌いましょう。力が入るとハーフタイムシャッフルの軽やかさが出しにくくなります。桑田佳祐さんの歌唱に寄せるために過度に舌根に力を入れたり引いたりしすぎないよう注意してください。サビの最高音ではファルセットへの切り替えが行われています。前後のフレーズが繋がるようにボディカバーの切り替えや、息のコントロールの練習をしましょう。

✅ この楽曲のポイント

  • BPM76・Key Gメジャー。16分がハネるハーフタイムシャッフル
  • Aメロはモーダルインターチェンジ(F/F△7)の浮遊感と強進行
  • サビはセカンダリードミナント(E7→Am7、G7→C△7)とEb△7-Fで締める
  • 歌唱はリラックスを保ち、サビ最高音のファルセット切替と息の制御がカギ

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タグ

#白い恋人達 #桑田佳祐 #楽曲解説 #コード進行 #ハーフタイムシャッフル #モア東京ボーカル教室

この記事を書いた人

モアサポートバンドメンバー〜MOAが誇る講師とプロミュージシャンがタッグを組み、ポップス曲解説を制作〜

講師

モアサポートバンドメンバー〜MOAが誇る講師とプロミュージシャンがタッグを組み、ポップス曲解説を制作〜

【経歴】
専門学校横浜ミュージックスクール出身を中心に結成された、キーボード・ドラム・ギター・ベースによる現役プロのサポートバンド。メンバーはそれぞれ、バンドメンバーとしてのメジャーデビューや、嵐をはじめとする多彩なアーティストのライブ・レコーディング参加、Mr.Children主催「ap bank fes」出場、各種オーディションでの最優秀賞獲得など、確かな実績を持つ。フジロック、Japan JAM、ap bank fes、THE FIRST TAKEなど国内有数のフェス・番組への出演をはじめ、数多くのアーティストのライブサポートやレコーディングを手がける。豊富な現場経験を活かし、ポップス曲を演奏・歌唱の両面から実践的に解説している。

 

【主なサポート・出演歴】
嵐/TOOBOE/杏沙子/コバソロ/上野優華/富田麻帆/ザ・コインロッカーズ/ダウト/櫻井有紀(Raphael)/生熊耕治(cune)/WHY@DOLL/ミライスカート ほか多数 フジロック/Japan JAM/ap bank fes/THE FIRST TAKE 出演(敬称略)

 

【ディレクター】
工藤講師

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