ミュージカルコラム

コラムTOPに戻る

【ミュージカル曲コラム】『マイ・ウェイ/On My Way』VIOLET/ヴァイオレット 歌い方・歌 上達法

【曲名】マイ・ウェイ/On My Way
【演目】VIOLET/ヴァイオレット


【演目について】

舞台は1964年、アメリカの公民権運動を背景としている。アメリカ南部の片田舎に暮らすヴァイオレットは、幼い頃に父親による不慮の事故で顔に大きな傷を負い、25歳の今まで人目を避けていた。しかし今日、彼女は決意の表情でバス停にいる。あらゆる傷を癒すと噂の奇跡のテレビ伝道師に会う為、西へ1500キロ、人生初の旅に出るのだ。

 

長距離バスの旅でヴァイオレットは色々な人と出会う。顔の傷を見た途端に目を背ける人々。南部出身で白人の老婦人。黒人兵士フリックと白人兵士モンティの対称的な二人の男性。思いがけない正体を現したテレビ伝道師。追憶の中にあらわれる父親。ヴァイオレットは人種を超えた様々な人の持つ葛藤や、多様な価値観に触れ、心の中が少しずつ変化していく。

 

本作は、1997年にオフ・ブロードウェイにてプロデュースされ、7部門のドラマ・デスク・アワードにノミネートされた。ドラマ・クリティックス・サークル・アワードの最優秀ミュージカル賞、ルシル・ローテル賞の最優秀ミュージカル賞を受賞し、ジニーン・テソーリが手掛ける楽曲は高い評価を受けている。


【曲について】
この曲は、旅を始めたばかりのヴァイオレットが、バスで乗り合わせた他の乗客たちと“ついに旅に出た”と一緒に歌う曲。

 

サビ部分に『ヨルダン川を越えろ』という歌詞があるが、ヨルダン川というのはキリスト教における“象徴”の川を指す。旧約聖書では「ヨルダン川を渡った先には“約束の地”がある」とされていて、ヴァイオレットやバスに乗っている他の乗客たちの様々な祈りが、それぞれの約束された場所へ向かおうと高揚感あふれる楽曲になっている。


【歌唱ポイント、アプローチ】
バスが揺られているような前奏と乗客たちのハミングから曲が始まる。それぞれの旅への期待を表現するように明るい音色を意識しましょう。

 

旅を始めたヴァイオレットは、時間が経てば顔の傷へのコンプレックスを受け入れられると分かっていても、時間が解決してくれるまで待てずに、バスに乗ることにしました。奇跡のテレビ伝統師に会えば、自分の傷は癒えると期待しているため、歌い出しのフレーズは言葉を立てつつ、語尾を伸ばしすぎないようにしましょう。楽譜上、伸ばすべきところと、そうでないところのメリハリがついて、ヴァイオレットの高揚感が表現されます。

 

他の乗客たちがユニゾンで参加するパートでは、音が食い付いてくるようなスピード感を意識すると『不安など捨て去って(バスに)飛び乗ってきた』という能動的な歌詞をうまく表現できます。

 

子供時代のヴァイオレットとのデュエットでは、旅を決めた今でも、コンプレックスとして子供時代からの傷が付き纏っている様子が描かれます。しかしここでは悲しくなるのではなく、やっと向き合う覚悟ができたという強さを意識しましょう。


 

この記事をシェア!

PAGETOP