ボイストレーニングコラム2

コラムTOPに戻る

キーボディストによる音源を聞き分ける講座 第3回~ベースとギター編~

第3回:ベースとギター編

 

「ベースってギターとどう違うの?」

 

モアの発表会やライブに初めて参加される生徒さんから、よくいただく質問です。確かに見た目はそっくり。どちらも弦が張られ、ピックや指で演奏する楽器。ところが役割を知ると、まったく別物だということが見えてきます。


ベースは“基礎”、ギターは“内装”

 

ベースは、家で言えば「基礎のコンクリート」のような存在。低音で地面を固め、リズムとハーモニーを下から支えます。単音を中心に「ドゥン、ドゥン」と一定のリズムを刻むことで、聴いている人が安心して体を揺らせる“土台”を作ります。

 

ギターは、壁紙や家具といった“内装”。和音を弾き、彩りや厚みを加えます。同じリズムに乗っていても「ジャーン」と鳴らすコードや「アルペジオ」と呼ばれる分散和音のフレーズで、曲の雰囲気を一気に明るくしたり、切なくしたりできるのです。


「聞き取りづらいベース」の理由

 

ベースの音はドラムと同じ低い帯域に存在するため、初心者にとっては「ぼわっとしていて聴き取れない」と感じることが多いもの。ですが、注意深く耳を傾けると「低音があるとき」と「抜けているとき」では、曲の安定感がまったく違うことに気づきます。

 

例えばライブや発表会で、バンドのリハーサル中にベースの音を一度止めてみると…一瞬で全体がふわふわと頼りなく聞こえる。これほどまでにベースが大切だということを、体感できます。


ギターは“表情を変える”魔法

 

ギターは音色の幅が広く、エフェクターと呼ばれる機材で自在に音を変えられます。
• クリーントーン … 澄んだ透明感のある音。バラードや静かな場面に
• ディストーション(歪み) … ざらついた力強い音。サビや盛り上がりに使われる
• リバーブ/ディレイ … 音を広げたり、残響を加えて幻想的な雰囲気に
同じ曲でも、ギタリストがどの音色を選ぶかで曲の印象は大きく変わります。


練習法:ベースとギターを聴き分ける3ステップ

 

1. 低音に集中する
 ヘッドホンを使って、曲の一番下の「ドゥン、ドゥン」という音に耳を向けてみましょう。
2. 和音に意識を移す
 次に、ベースを一旦無視して「ジャーン」と鳴るコードやアルペジオに耳を切り替えます。
3. 両方を重ねて聴く
 最後に再び全体を聴くと、土台と内装がどう重なって曲を支えているのかが分かります。


ライブなどでの実感

 

カラオケに慣れていると、初めてバンドで歌うときに「音の洪水」に戸惑うことがあります。
特にベースとギターは音域が近いため混ざって聞こえやすいですが、意識して聴き分けられるようになると、自分の声をどこに置けばよいのかが分かりやすくなります。


まとめ
ベースは「曲を地面から支える縁の下の力持ち」、ギターは「空間を彩る表情豊かな役者」。どちらも欠かせない存在ですが、役割を意識して聴き分けられるようになると、音楽の見え方がガラリと変わります。


第1回~音楽の“裏側”を知る導入編~

 

第2回~ドラムの音を聞き分けよう~

 

第4回~鍵盤楽器・上モノ編~

 

第5回~応用編 ― 曲をまるごと聴き分ける~

________

この記事をシェア!

PAGETOP