【第3回】用語は“イメージワード” ゴールは“自分が歌いたい歌”を唄えるようにこと
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声の用語を学ぶと、たしかに整理は進みます。ただ、学べば学ぶほど「用語の正解探し」になってしまうこともあります。ここで大事なのは、分析は“参考”であって、目的ではないという考え方です。
1) 分析は“紐解き”。できること自体がゴールではありません
声を分類していくことは、歌えない原因を探るうえで役立ちます。ただし、「紐解いたらこうである」という理解は、あくまで“歌いたいけど、こうならないときの参考”です。そして、上手い人ほど、分析しながら歌っているわけではありません。分析は後づけであり、必要なときのヒントとして使う——この距離感が初心者にはとても大切です。
2) ボイストレーニングは“試合のための練習”という考え方
ボイストレーニングは、スポーツにたとえると分かりやすい、という話があります。足りない体力があれば体力をつける。瞬発力が足りなければ瞬発力を鍛える。目的は「練習の完成」ではなく、試合で自由に動けるようにすることです。
同じように、練習は大事ですが、練習=本番の歌ではありません。歌唱としての豊かさ(音楽としての“試合感”)を失わないことも、同じくらい大切だ、という流れになります。
3) 「基礎」と「歌」を分けて考えると、理解が早くなります
基礎トレーニングをしているのか、音楽的な表現をしているのか。ここを理解しないと、何をやっているのかが分かりにくくなります。本来は「声を育てるトレーニング」と「歌を上手にするシンギング」が分かれている方が効率的、という考え方も語られています。
初心者の方は、レッスンの中でも「いまは基礎の話なのか」「いまは歌の話なのか」を自分の中で分けて聞くだけで、混乱が減りやすくなります。
4) 科学的な整理が進んだことで、可能性が広がる
声を解析する機器や考え方が発達したことで、「定義して共有する」ことがしやすくなりました。だからといって今の時代の歌手だけが急にすごくなったわけではなく、昔から素晴らしい歌手はいました。ただ、後づけの分析が共有されることで、感覚だけで掴める人だけでなく、理解を深めて体を動かせる人の可能性も広がってきた、という捉え方です。
5) 最後は「自分だけの歌」へ:真似て、スキルを増やして、選べるようになる
同じ曲をたくさんの人が歌うと、驚くほど違います。だから面白い、という話も出てきます。上手い人を分析して「何をしているのか」を真似してみる。それで“スキル”を増やしていく。最終的には「自分はこう歌いたい」という地点に進む。
この流れが、初心者にとっては一番現実的で、続けやすい道筋です。
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