フレージング法とは?言葉はどこで切るか|劇団四季に学ぶ伝わる話し方
言葉はどこで切る?――劇団四季に学ぶ「伝わる話し方」
文章を声に出して読んだとき、「きちんと読んでいるはずなのに、なぜか伝わらない」ということがあります。
発音が悪いわけでも、声が小さいわけでもない。それでも聞き手には内容が入ってこない。その原因のひとつが、「言葉をどこで切っているか」にあります。
劇団四季では、書かれた文章やセリフを相手にわかりやすく伝えるための技術として、「フレージング法」という考え方が用いられてきました。
このページでわかること
「フレージング法とは?」
「折れ」とは何か?
意味に合わせてブレスを取るという考え方
フレージング法を支える「想像力」
劇団四季メソッド シリーズ
フレージング法|言葉はどこで切るか(この記事)
黙読であれば、わからないところをもう一度読み返すことができます。しかし、朗読やスピーチ、舞台のセリフはそうはいきません。話された言葉は、その瞬間に消えていきます。
だからこそ、聞き手が一度で意味を理解できるように、話し手自身が文章の内容を理解し、言葉を組み立てて伝えることが必要になります。
「句読点」で切ればいいわけではない
文章を音読するとき、多くの人は「、」で少し休み、「。」でしっかり休むのではないでしょうか。
ところが、劇団四季のフレージング法では、句読点をそのまま言葉の切れ目とは考えません。
「書く言葉」と「話す言葉」は同じではない
句読点は、書かれた文章を目で読みやすくしたり、言葉同士の関係を明確にしたりするための記号です。
声に出して相手へ伝えるときに最優先されるのは、句読点ではなく、そこに描かれている意味やイメージです。
たとえば、文章の途中に読点があっても、その前後で同じイメージが続いているのであれば、そこで大きく切ってしまうと、かえって意味が伝わりにくくなることがあります。
反対に、句読点がなくても、話の内容やイメージが変わるところでは、きちんと区切ったほうが聞き手には理解しやすくなります。
つまり、文字の形を見るのではなく、言葉の中身を見ながら話すことが大切なのです。
言葉の「折れ」を見つける
そこで重要になるのが、劇団四季でいう「折れ」です。
「折れ」とフレージング法
「折れ」とは、文章やセリフの中にあるイメージや想念の流れを読み取り、その流れが変化するところでフレーズを区切ることをいいます。
その「折れ」を見つけ、一つひとつのフレーズをどのように語るのかを考えていく技術が「フレージング法」です。
私たちは普段の会話では、意外にもこの「折れ」を自然に行っています。
誰かに出来事を話しているとき、「それでね……」「ところが……」「そのとき突然……」というように、考えやイメージが変わるところで自然に間を取り、次の言葉へ進んでいます。
ところが、目の前に原稿が置かれた途端、私たちは文章に書かれた句読点に支配されてしまいます。その結果、意味ではなく文字を追って読む「音読」になってしまうのです。
声にする前に、読み取る3つのこと
どこまで同じイメージが続いているのか。
どこで考えが変わったのか。
どこから新しいイメージが始まるのか。
まず「この文章では何を伝えているのか」を考え、それを読み取ってから、言葉を声にしていきます。
呼吸も「意味」に合わせる
さらに興味深いのが、「折れ」と呼吸の関係です。
一般的な音読では、息が苦しくなってきたところでブレスを取ってしまいがちです。
「息がなくなったから吸う」のではない
フレージング法では、意味やイメージが変化する「折れ」で息を取ると考えます。
たとえまだ息が残っていても、折るべきポイントが来たら、そこで新しく呼吸を取ります。
そうすることで、次のフレーズを十分な息とともに始めることができ、言葉もより明瞭になります。
これは歌にも応用できる、とても大切な考え方でしょう。
歌を歌うときも、単に「息が続くところまで歌う」のではなく、歌詞の意味やイメージの変化に合わせてブレスを考えることで、言葉の伝わり方は大きく変わります。
つまりブレスとは、単なる「息継ぎ」ではなく、次の言葉やイメージを生み出すための準備でもあるのです。
美しい日本語は「想像力」から生まれる
では、どうすれば適切な「折れ」を見つけられるのでしょうか。
そのために必要になるのが、言葉に対する想像力です。
言葉から何が見えるか
文章に書かれている言葉を、単なる文字として読むのではなく、その言葉から情景や人物、色、温度、空気、感情などを思い浮かべる。
同じ一つの言葉でも、そこからどれほど豊かなイメージを持てるかによって、その言葉の響きや伝わり方は変わってきます。
フレージング法を正しく行うためには「言葉に対する想像力と豊かなイメージを持つ力」が必要であり、その力を育てるうえで読書が重要だとされています。
小説、詩歌、戯曲、評論など、さまざまな文章に触れ、自分の中でその世界を想像する。そうした積み重ねが、言葉からイメージを生み出す力につながっていきます。
まとめ|「この言葉から、自分には何が見えているだろう」
美しい日本語を話すというと、滑舌よく、正しい発音で話すことを思い浮かべがちです。もちろん、それらも大切です。
しかし、本当に相手へ「伝わる言葉」にするためには、もう一歩先へ進む必要があります。
何を伝えたいのか。
どこまでが一つのイメージなのか。
どこで考えが変わるのか。
文章の奥にある流れを読み、それに合わせて言葉を切り、呼吸をし、声にする。
劇団四季のフレージング法が教えてくれるのは、単なる話し方のテクニックではありません。それは、言葉を深く読み、その言葉の向こう側にあるものを想像し、それを相手へ届けるための方法なのです。
そしてその力は、舞台に立つ俳優だけに必要なものではありません。朗読やプレゼンテーション、スピーチ、そして日常の会話にも生かすことができます。
「どう話せば上手に聞こえるか」を考える前に、まず、「この言葉から、自分には何が見えているだろう」と考えてみる。
そこから、本当に相手の心に届く言葉が始まるのではないでしょうか。
参考文献
この記事は、『劇団四季メソッド「美しい日本語の話し方」』を参考に構成しています。四季を目指す方にはもちろん、日本語をより美しく話したいすべての方におすすめの一冊です。
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「伝わる言葉」を身につけたい方へ|モア東京ボーカル教室
フレージングは、自分では気づきにくい技術です。どこで切っているか、なぜそこで切ったのか。モア東京ボーカル教室には、劇団四季の舞台に出演していた講師が在籍。歌詞やセリフの読み解き方から、マンツーマンで指導します。浦安・津田沼・葛西・錦糸町の4校とオンラインで、東京・千葉エリアから通えます。







