フランク・ワイルドホーンの音楽とメガミュージカルが残したもの|メガミュージカル③|モア東京ボーカル教室
カテゴリ
ロイド=ウェバーが「旋律」で観客を魅了し、ブーブリル&シェーンベルクが「音楽によってドラマを動かす」作品を生み出したとすれば、もう一人、違った角度から壮大なミュージカル音楽を発展させた作曲家がいます。
フランク・ワイルドホーンです。
このページでわかること
ワイルドホーンの「一曲の力が強い音楽」
「This Is the Moment」に見るクライマックスの作り方
3人の作曲家の違いから見える「メガ」の本質
ポップスの感覚を持ってミュージカルへ
ワイルドホーンは1958年、ニューヨーク生まれ。大きな影響を受けたのは、ロック、ポップス、R&B、ジャズといったアメリカのポピュラー音楽でした。
そしてミュージカルの世界で成功する以前からポップソングの作曲家として活動し、ホイットニー・ヒューストンが歌った「Where Do Broken Hearts Go」は1988年に全米チャート1位を獲得しています。
つまりワイルドホーンは、ヒットするポップソングを書く感覚を持ってミュージカルへ入ってきた作曲家なのです。
「一曲」の力が強い音楽
ワイルドホーンの音楽の2つの特徴
一曲一曲が非常に強い:親しみやすく覚えやすいメロディを持ち、物語から一曲だけを取り出しても、ポップスやロックバラードのように成立する力があります。
感情と音楽が重なる:登場人物の「感情の高まり」と「音楽の高まり」が重なっています。決意、希望、愛情、葛藤。感情が大きくなるにつれて旋律も広がり、音域は高くなり、オーケストラも厚くなっていく。
いわば、「感情の高まりを、そのまま音楽の高まりにする」という作り方です。
歌手の「声」がクライマックスになる
その特徴を象徴するのが、『ジキル&ハイド』の「This Is the Moment(時が来た)」です。
曲は比較的静かに、自分自身へ語りかけるように始まります。そこから少しずつ旋律が上昇し、音域が広がり、オーケストラも厚くなっていく。そして最後には、高音とロングトーンによる大きなクライマックスが待っています。
頂点へ到達するのは、歌手の声そのもの
ここで重要なのは、オーケストラだけが音楽を盛り上げているのではないということです。
最後に頂点へ到達するのは、歌手の声そのものなのです。
『ジキル&ハイド』『スカーレット・ピンパーネル』『シビル・ウォー』『ドラキュラ』『モンテ・クリスト伯』など、ワイルドホーンは歴史や文学を題材にしたドラマティックな作品を数多く手がけています。
その壮大な世界と、ポップスのように親しみやすい旋律。そして、歌手が声の力を存分に発揮できるクライマックス。そこにワイルドホーンならではの魅力があります。
「メガ」とは何だったのか
ここまで3回にわたり、メガミュージカルの誕生と、その音楽を見てきました。改めて作曲家たちを比べてみると、その違いがはっきり見えてきます。
3人の作曲家が大切にしたもの
ロイド=ウェバー:一度聴いたら忘れられない旋律
ブーブリル&シェーンベルク:音楽によってドラマを動かしていく力
ワイルドホーン:歌手の声と感情の高まり
もちろん、実際の作品をこの三つだけで完全に分類することはできません。しかし、「その作曲家は音楽の何を大切にしているのだろう」という視点を持つと、それぞれの作品の個性がより鮮明に見えてきます。
まとめ|三つのスケールが一つになったとき
メガミュージカルの「メガ」とは、決して巨大なセットや大人数の出演者だけを意味するものではありません。
壮大な舞台と物語があり、そこに観客の記憶に残る強い音楽がある。旋律が心に残り、音楽が物語を動かし、歌手の声が観客の感情を揺さぶる。さらに、その舞台体験がロンドンやニューヨークだけにとどまらず、国境や言葉を越えて世界中へ広がっていった。
舞台のスケール、音楽のスケール、そして世界へ広がっていくスケール。それらすべてが一つになったからこそ、メガミュージカルは一つの時代を作り、今なお世界中の観客を魅了し続けているのです。
関連コンテンツ
メガミュージカルを歌ってみませんか|モア東京ボーカル教室
モア東京ボーカル教室は、元劇団四季・東宝出演のプロのミュージカル俳優が指導する、ミュージカルに強いボーカルスクールです。「This Is the Moment」のような声の力が求められる曲も、発声の基礎からクライマックスの作り方まで、マンツーマンで指導します。浦安・津田沼・葛西・錦糸町の4校とオンラインで、東京・千葉エリアから通えます。







