強くなるの歌い方・意味|バケモノの子/蓮と一郎彦|劇団四季|モア東京ボーカル教室
強くなる|劇団四季ミュージカル『バケモノの子』
劇団四季ミュージカル『バケモノの子』の「強くなる」は、蓮と一郎彦という二人の少年の思いが重ねられる、物語序盤の重要なナンバーです。同じ「強くなりたい」でも、その理由は異なります。曲の背景と歌い方のポイントを、プロのミュージカル俳優が解説します。
このページでわかること
劇団四季『バケモノの子』の作品背景
蓮と一郎彦、二人が求める「強さ」の違い
役ごとに歌い分けるポイント
声量に頼らず前へ進むエネルギーを出す方法
劇団四季『バケモノの子』とは
劇団四季のミュージカル『バケモノの子』は、細田守監督による同名アニメーション映画を原作に、劇団四季がオリジナルミュージカルとして舞台化した作品です。脚本・歌詞を高橋知伽江、作曲・編曲を富貴晴美、演出を青木豪が担当し、2022年4月に東京で開幕しました。
あらすじ|ぶつかり合う師匠と弟子
物語の主人公は、9歳の少年・蓮。両親の離婚によって父と離れ、さらに母を亡くした蓮は、行き場を失い、ひとり渋谷の街をさまよっていました。そんな彼が偶然出会ったのが、バケモノの世界「渋天街」からやって来た熊徹です。
熊徹は渋天街でも一、二を争う強さを持ちながら、粗野で横暴な性格。一方の蓮も、大人に対して簡単には心を開かない少年です。そんな二人が師匠と弟子になり、蓮は熊徹から「九太」という名前を与えられます。
しかし、この師弟関係は最初からうまくいくわけではありません。教えることが苦手な熊徹と、素直に教わることができない九太。二人は何度もぶつかり合います。それでも修行と生活をともにするうちに、九太は熊徹から学び、熊徹自身も九太を指導することで変化していきます。
そして年月が流れ、九太は17歳の青年へと成長します。
この作品で描かれる「成長」は、九太だけのものではありません。熊徹もまた、九太を指導するなかで、独りよがりだった武術が次第に洗練されていきます。そして、九太と同世代の一郎彦もまた、成長するにつれて「自分は何者なのか」という問題に直面していきます。
つまり『バケモノの子』は、単に師匠が弟子を強くする物語ではありません。人と人とが出会い、ぶつかり、影響を与え合いながら、それぞれが「自分はどう生きるのか」を探していく物語なのです。
「強くなる」はどんな曲?
「強くなる」は、少年・蓮と、猪王山の息子である少年・一郎彦の「強くなりたい」という思いが重ねられる、物語の序盤の重要なナンバーです。
同じ言葉、異なる理由
蓮:母を亡くし、ひとりになった蓮は、独りで生きるための「強さ」を求め、熊徹の弟子になることを決意します。
一郎彦:強さと品格を兼ね備えた猪王山を父に持ち、その父を誇りに思いながら、「父のような立派な剣士になりたい」と願っています。
つまり二人は、置かれている環境も、強さを求める理由も違います。それでも少年である二人の胸には、同じように「強くなりたい」という願いがあります。
ここが、この曲のとても興味深いところです。
蓮にとっての「強さ」は、ひとりでも生きていくために必要なもの。一郎彦にとっては、憧れの父に近づいていくためのもの。しかし物語が進み、二人が成長すると、この「強さ」という言葉は、もっと複雑な意味を持ち始めます。
成長の先で、それぞれの「自分」に直面する
九太は熊徹との修行を重ね、17歳になる頃にはその強さを知られる存在になります。それでも、人間とバケモノという二つの世界の間で「自分は何者なのか」と揺れ動きます。
一郎彦もまた、成長するにつれて自分自身が何者なのかという疑念を抱くようになります。
さらに「強くなる」というモチーフは、「強くなる(少年蓮 リプライズ)」「強くなる(青年蓮 リプライズ)」として繰り返されます。
だからこの曲は、単なる元気な決意の歌ではありません。
「強くなりたい。でも、本当の強さとは何だろう?」
まだその答えを知らない二人の少年が、それぞれの人生を歩き始める歌。そして後の二人の成長や葛藤を知ることで、最初の「強くなる」という言葉が、より深い意味を持って聞こえてくるナンバーなのです。
「強くなる」の歌い方・ポイント
この曲を歌うときに最も大切なのは、最初から「強い少年」を演じないことです。
蓮も一郎彦も、すでに完成された強さを持っているから「強くなる」と歌っているのではありません。「もっと強くなりたい」「今の自分より前へ進みたい」。その願いが歌を動かすエネルギーになります。
① 二人を「一色」にしない
蓮と一郎彦を同じ「強くなりたい少年」として一色にしてしまわないことが大切です。
同じ言葉を歌っていても、「なぜ強くなりたいのか」が違えば、言葉の温度や方向も変わります。
② 役ごとの出発点
蓮を歌う場合:「弱いままではいたくない」という切実さを大切に。決意を大きな声で表現するのではなく、まず自分自身に言い聞かせるように言葉を立ち上げていきます。
一郎彦を歌う場合:父への憧れや誇りを出発点にすると、蓮とは違う明るさやまっすぐさが生まれます。
二人の声が重なるところでは、単に音程やリズムをそろえるだけではなく、「理由は違う。でも、二人とも強くなりたい」という共通点を感じて歌うことが大切です。
③ 声量だけで「強さ」を表現しない
息のスピード、言葉の立ち上がり、子音の明確さ、フレーズがどこへ向かっているのか。これらを意識することで、少年たちの前へ進もうとするエネルギーを表現できます。
特に「強く」という言葉で身体を固めたり、声を押し出したりしないこと。身体は柔軟に保ち、息を前へ流し、その流れに言葉を乗せてください。
④ 答えを「先回り」しない
この曲を歌ううえで忘れたくないのは、二人とも、まだ「本当の強さ」の答えを知らない少年だということです。
後の物語を知っている歌い手が、その答えを先回りしてはいけません。
「強くなる」はゴールではなく、二人の成長のスタート地点です。
だからこそ、完成された強さを見せるのではなく、「これから強くなっていく」若いエネルギーと未来への方向性を、声と言葉に宿すこと。それが、この曲を魅力的に歌う大きなポイントになります。
こうした役の違いを声で描き分ける表現は、独学では難しい部分でもあります。モアのミュージカルレッスンでは、元劇団四季・東宝出演の講師が、曲の背景理解から「役として歌う」表現まで丁寧にサポートします。
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この曲を歌ってみたい方へ|モア東京ボーカル教室
モア東京ボーカル教室の講師陣には、劇団四季の舞台に出演していたプロのミュージカル俳優が在籍しています。「強くなる」のような役の心情を声で描き分ける曲も、人物像の理解から発声・表現まで、マンツーマンで丁寧に指導します。浦安・津田沼・葛西・錦糸町の4校とオンラインで、東京・千葉エリアから通えます。









